2000 Fiscal Year Annual Research Report
海洋内部混合の空間不均一を考慮した全球規模熱塩循環の高解像度モデリング
Project/Area Number |
12740268
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
羽角 博康 東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (40311641)
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Keywords | 海洋大循環モデル / 熱塩循環 / 鉛直混合 / パラメタリゼーション / 内部潮汐砕波 |
Research Abstract |
近年の観測で明らかになってきた深層海洋における混合の強さの大きな空間不均一性が全球規模熱塩循環の3次元構造の決定に対してどのような影響を及ぼしているかを調べるため、必要となる高解像度海洋大循環モデルの整備を行い、予備的な数値実験を行って混合の強さのパラメタリゼーションの検討・改良を行った。 海洋大循環モデルの整備に関しては、計算効率および必要とされる物理的プロセスのより現実的な表現という観点から、海面の昇降を陽に取り扱う自由海面、海底地形をより実際に即した形で表現するための数値差分法、および海洋深層水の形成・流出過程を表現するための海底境界層を新たに取り入れた。 観測されている深層海洋における混合の強さの空間不均一性は海底地形の粗度と相関しており、内部潮汐の砕波というプロセスによっていることを示している。海洋大循環モデルにおいては内部潮汐を陽に表現することができないため、海底地形の粗度と深度に基づくパラメタリゼーションが必要となる。海洋の熱塩循環の実態に関しては観測データに乏しく、とくに太平洋における循環はよくわかっていないが、観測された温度躍層や部分的に観測されている流量を指標として、整備された海洋大循環上でいくつかのパラメタリゼーションの方法を試した。パラメタリゼーションにおいて特に問題となるのは、起伏の激しい海底上で励起された内部潮汐が鉛直方向にどこまで伝播して砕波するかであり、混合の強さの鉛直方向の減衰率を変えたケーススタディーを通して、観測とできるだけ整合するようにパラメタリゼーションを改良した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] H.Tsujino,H.Hasumi and N.Suginohara: "Deep Pacific circulation controlled by vertical diffusivity at the lower thermocline depths"Journal of Physical Oceanography. Vol.9,No.11. 2853-2865 (2000)
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[Publications] Y.Yamanaka,R.Furue,H.Hasumi and N.Suginohara: "Comparison of two classical advection schemes in a general circulation model"Journal of Physical Oceanography. Vol.9,No.9. 2439-2451 (2000)
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[Publications] S.M.Griffies 他8名(H.Hasumiを含む): "Developments in ocean climate modelling"Ocean Modelling. Vol.2,No.3. 123-192 (2000)
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[Publications] A.Oka,H.Hasumi and N.Suginohara: "Stabilization of thermohaline circulation by wind-driven and vertical diffusive salt transport"Climate Dynamics. 印刷中. (2001)
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[Publications] 羽角博康: "海洋大循環モデルの現状と課題"海の研究. 10巻1号. 25-39 (2001)