2000 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波ドップラーレーダー・境界層レーダーを用いた霧の発生機構に関する観測的研究
Project/Area Number |
12740270
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋口 浩之 京都大学, 宙空電波科学研究センター, 助手 (90293943)
|
Keywords | ミリ波レーダー / 境界層レーダー / 海霧 / 放射霧 / 釧路 / 三次 |
Research Abstract |
空港周辺や高速道路等で霧が発生すると、視程の悪化により航空機運航や車両の運行に大きな障害になる。このように実生活への影響も大きいことから、従来から霧の観測研究はさかんに行われてきている。しかしながら、それらの観測のほとんどは光学観測やゾンデ・地上気象測器を用いた観測が中心であり、霧の空間分布が観測された例はほとんどない。このような理由から、霧について、まだ基本的なことさえ理解されていないことも多い。我々が開発した車載型ミリ波(35GHz帯)ドップラーレーダーはアンテナをスキャンすることで霧の3次元的な分布状態を観測することが可能である。また、車載型Sバンド(3GHz帯)境界層レーダーは天候に左右されることなく風の鉛直プロファイルを連続的に観測することができる。本研究では、これらのレーダーを用いて、霧の空間分布を定量的に解明し、霧の特徴、発生条件、発生・消滅メカニズムなどを明らかにすることを目的とする。 まず夏季に海霧が頻発する釧路市に車載型ミリ波ドップラーレーダーを設置し、気象庁の霧レーダーとの協同観測を実施した。海霧の中に周期1km程度の周期的な構造を持つものが存在することが明らかとなった。次いで、秋季にミリ波ドップラーレーダーとSバンド境界層レーダーをやはり霧の頻発地域として知られる三次市の三次盆地に設置し、観測を実施した。ミリ波レーダーによる霧の3次元分布観測から、霧の発達過程では下層でできた霧が徐々に上層に広がって行き、逆に消滅過程では上層から徐々に消えることが分かった。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 浜津享助,橋口浩之 他: "雲霧観測用Kaバンドドップラーレーダーの開発"電子情報通信学会論文誌B. J83-B. 554-566 (2000)
-
[Publications] 浜津享助,橋口浩之 他: "低層ウィンドシヤー検出用ドップラーレーダーの開発"電子情報通信学会論文誌B. J83-B. 894-909 (2000)
-
[Publications] 浜津享助,橋口浩之 他: "ドップラーレーダーを用いた低層ウィンドシヤー検出アルゴリズムの開発"電子情報通信学会論文誌B. J83-B. 1067-1080 (2000)
-
[Publications] 若山俊夫,橋口浩之 他: "Kaバンド気象ドップラレーダによる霧観測"信学技報. SANE99-102. 45-52 (2000)
-
[Publications] Widiyatmi,I.,H.Hashiguchi 他: "Spectral features of wind velocities over equatorial Indonesia based on boundary layer radar observations at Serpong, Biak, and Bukittinggi"J.Meteor.Soc.Japan. (印刷中). (2001)