2001 Fiscal Year Annual Research Report
降雪過程がメソスケール降雪雲群の運動学に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
12740271
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
吉本 直弘 大阪教育大学, 教育学部, 助手 (10294183)
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Keywords | 降雪過程 / メソスケール降雪雲群 / 降雪粒子 / 粒径分布 / 落下速度 |
Research Abstract |
平成14年1月から2月にかけて若狭湾周辺においてビデオカメラを用いた降雪粒子の観測を行った。また、自動気象観測装置を用いた気温、湿度、気圧、風向・風速の観測、及びデジタルカメラを用いた降雪粒子の撮影も行った。平成14年1月は京都府舞鶴市五老ヶ岳山頂付近(標高290m)において、平成14年2月は福井県三方郡三方町梅丈岳山腹(標高300m)において観測を行った。 観測期間中に観測された霰の最大直径は1cmを超えた。ビデオカメラによって観測された降雪粒子の落下速度は最大で8ms^<-1>に達した。ただし、ビデオカメラの視野(鉛直方向に30cm)に2コマ撮影できない降雪粒子もあった。したがって、8ms^<-1>以上の大きな落下速度を持った降雪粒子も存在したと考えられる。 三方では舞鶴に比べ霰の降雪頻度が高かった。これは、三方では若狭湾から直接進入する降雪雲を観測しているのに対し、舞鶴では丹後半島を通過してきた降雪雲を観測していることに関係している。すなわち、前者は発達段階に降雪雲を、後者は衰弱段階にある降雪雲を観測している。三方では数分間に渡って霰のみが降り続けることがあった。これは降雪雲内部にメソスケールの強い上昇気流が存在することを示唆している。 ビデオカメラによる降雪粒子の落下速度の測定は、比較的大きな降雪粒子には有効であることがわかった。しかし、降雪粒子の粒径分布や落下速度の頻度分布などの定量観測にはいくつか課題がある。すなわち、強風時における降雪粒子の補足率の低下や、観測装置と降雪粒子の衝突による降雪粒子の破壊などである。今後、降雪粒子の観測回数を重ね、降雪粒子の定量観測により降雪粒子がメソスケール降雪雲群の運動学に与える影響に関するさらなる知見が得られることが期待される。
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Research Products
(1 results)