2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740272
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山本 勝 和歌山大学, 教育学部, 講師 (10314551)
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Keywords | 金星大気 / 波動 / 大循環モデル |
Research Abstract |
CCSR/NIES大気大循環モデル(GCM)をもとに、物理過程を簡略化した金星大気GCMを構築し、T10L50の分解能で実験を行った。本研究では、金星の四日循環(大気が自転の60倍で高速回転する現象)をGCMで再現し、その形成・維持メカニズムを調べた。 高度35kmから55kmにかけて帯状流が高度と共に増大し、高度60km付近で100m/sを越える高速流が形成された。また、高度80km以高では、帯状流の減速域が観測された。鉛直流は、地面から中層大気に至るまで途切れることなく、つながっている。また、子午面流は帯状流の減速域で強められている。このように、鉛直方向に1セルの子午面循環が卓越する状況で、金星四日循環を再現することができた。この時、波による運動量水平輸送は、高度67kmの低緯度と高度47kmの中高緯度で、赤道向きの極大を持つ。他方、波による熱の水平輸送は、高度50kmと高度75kmの高緯度域で、極向きの極大を持つ。また、中層大気の鉛直運動量輸送は下向きが支配的である。 上記の結果について波動の解析をした。帯状流の鉛直シアの強い領域では、傾圧波や順圧波による赤道向き運動量が、帯状流平均流の緯度分布を等速にする。高度65km付近まで運ばれた角運動量はいろいろな波の運動量水平輸送によるGierasch機構で蓄積され、その結果、高速流が形成される。さらに上層に運ばれた角運動量は重力波ブレーキングによって失われる。 上記の研究と平行して、現実に観測されている惑星スケール赤道波について四日循環に対する寄与などを経度-高度の2次元モデルで調べ(Yamamoto 2001)、惑星スケール赤道波も四日循環に重要な役割を果たす可能性を示唆した。しかしながら、GCMでは赤道域の惑星スケール波が再現されておらず、この点が今後の課題である。
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Research Products
(1 results)