2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740274
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹広 真一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (30274426)
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Keywords | 対流 / 回転 / 木星大気 / 地球中心殻 / 成層 |
Research Abstract |
本研究では,木星大気や地球中心核内の対流の基本的な性質を調べるために,回転球殻内における熱対流の安定成層への貫入の問題に対して,数値実験と理論的考察で取り組んだ. まず,外側が安定成層,内側が不安定成層している回転球殻内の対流の臨界状態を数値的に求めた.回転角速度と安定成層の強さを様々に変えて計算した結果,安定成層が弱い場合には回転軸方向に伸びたテイラーコラム型の対流セルが安定成層に深く貫入し外側境界にまで達するが,安定成層が強くしていくと,貫入が弱くなり下層の不安定成層内にのみ対流運動が集中していく様子が観察された. この貫入の程度の様子を理解するために,安定成層下部から水平渦を与えた場合の安定成層内の流体運動の応答を表す理論モデルを構築し,その解を解析的に求めた.その解の振舞から,対流渦の貫入距離が球殻の回転角速度と水平渦の水平スケールに比例し,安定成層内のブラントバイサラ振動数に逆比例することが示された.この理論的に求めた貫入距離は数値計算の結果を定量的に良く説明することができる. 以上の結果は,木星大気や地球中心核に存在しているかも知れない上部の安定成層が,水平スケールの小さな対流を選択的に遮蔽する効果を持つことを意味している.このことから観測される木星大気表面での大気運動のなかで,水平スケールの大きな現象は内部の対流によって説明はできるが,水平スケールの小さな現象を説明することはできないことが示唆される.
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