2001 Fiscal Year Annual Research Report
境界層レーダー観測による降水雲の組織化に関する研究
Project/Area Number |
12740276
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
柴垣 佳明 大阪電気通信大学, 工学部, 講師 (00319592)
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Keywords | 境界層レーダー / 梅雨 / 降水システム / 甑島 / ゾンデ / 風速変動 / 低気圧 / 鉛直流 |
Research Abstract |
梅雨季の九州地方では、中間規模低気圧および前線の出現等に伴いメソスケール(〜100km)内で降水システムが発生・発達を繰り返し、局地的な対流活動が長時間持続する。その中でも、特に地形の影響による停滞性降水系が長時間局地的な降水をもたらす.このような短時間に複雑に変化する降水系の背景場とその内部構造を詳しく調べるために、昨年に引続き2001年6月10日〜7月5日に鹿児島県薩摩郡上甑島において境界層レーダー観測を実施した。また、降水システム出現時には、GPSゾンデを放球し、上空の複雑な温度・湿度高度プロファイルを取得した。 その結果、甑島に起因した地形性降水系は、下層での南風の強化時に発生し、それは中層の強い西風との合成成分によって北東方向に走向を持っていた。GPSゾンデ放球データから、地形性降水内では降水エコー頂高度以下で中立成層が確認された。さらに今年度はメンスケール内に、本研究で用いた境界層レーダーと気象研究所の2台のウインドプロファイラーによる同時観測が4時程度行われた。それらのデータを用いてメンスケール内の収束場を30分毎に調べた結果、観測領域には移動性降水帯しか現われなかったが、発達した降水システムの前面では収束域が、その内部では降水に対応した発散成分が卓越していた。また、収束場から降水システムの発達・維持機構メカニズムに関わる鉛直流成分を見積り、降水システム内およびその周辺の風速成分の振舞いを調べることができた。これらの結果の一部について、気象研究所主催の研究集会「豪雨・豪雪をもたらす気象擾乱」で報告を行った。
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