2000 Fiscal Year Annual Research Report
海跡湖の発達様式と湖底堆積物から解読する人類文化がおよぼした環境への影響について
Project/Area Number |
12740282
|
Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
田中 里志 京都教育大学, 教育学部, 助手 (00252536)
|
Keywords | 堆積相 / 海跡湖 / 石英粒 / 古砂丘 / 古土壤 / 化石珪藻 / 二次堆積 / 古環境 |
Research Abstract |
今年度は科研費研究のテーマに関連し,以下にあげる2つの小テーマを掲げ研究を実施した.(1)日本海側に分布する古砂丘を含む微高地の堆積相と石英粒の特徴,(2)河川-湖沼に誘導化石として再堆積する化石珪藻.(1)は,海跡湖である久美浜湾を取り巻く古砂丘層ならびに完新世の微高地の形成過程ならびにその特徴を明らかにするものである.特に,堆積相解析を行ない久美浜湾周辺に分布する完新世の微高地,古砂丘層が,それぞれ外浜,砕波帯,前浜,砂丘(古土壌を含む)の堆積環境下で形成されたことを明らかにした.このことは,これまで新・古砂丘と一括して扱われていた見解を再検討するものである.さらに,それぞれの環境における堆積物中の石英粒表面の電子顕微鏡による観察からTriangle pit,V-shape pit,Groove pit,Conchoidal texture,Solution textureの5つの表面構造を区分した.特に,砂丘とされる堆積物には,TriangleやV-shape pitが,古土壌にはそれらのSolution textureがそれぞれ認められる.さらに外浜,砕波帯,前浜環境を示す石英粒には,Groove pitやConchoidal textureが特徴的に認められる.このように堆積環境と石英粒の表面構造には密接な関連があり今後さらに詳細な堆積環境を検討する上で活用できる手法といえる.さらに(2)は,現生河川において,現生珪藻種と再堆積した化石珪藻種の堆積場による混在比の違いを明らかにしたものである.特に,更新世以降の淡水珪藻種はそのほとんどが現生しているものが多く,珪藻解析を行なう場合には両者の混在が問題になる.ここでは,絶滅種として知られている化石珪藻種を用い現生種と化石種の混在比が河川のそれぞれの堆積場で,どれほど異なっているのかを検討した.その結果,河川上流から下流へ,さらに河床から側方に氾濫原を離れるに従い化石珪藻種の混在が大きくなることが明らかとなった.この結果は,今後実施するボーリングコア試料の解析に反映されるものである.
|