2000 Fiscal Year Annual Research Report
瀬戸内海東部沿岸地域に分布する古第三系の層序および貝類化石群に関する研究
Project/Area Number |
12740293
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Research Institution | The Museum of Nature and Human Activities, Hyogo |
Principal Investigator |
松原 尚志 兵庫県立人と自然の博物館, 地球科学研究部, 研究員 (30311484)
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Keywords | 「瀬戸内中新統」 / 古第三紀 / 層序 / 貝類化石群 / 地質年代 / 分類 / 古生物地理 |
Research Abstract |
平成12年度には,瀬戸内海東部沿岸地域の「瀬戸内中新統」のうち,兵庫県淡路島の神戸層群岩屋層,神戸市西部地域の神戸層群多井畑層,岡山県前島の前島層,香川県小豆島・豊島の土庄層群の層序に関する野外調査および貝類標本の採集など,基礎データの収集を行った.また,採取した化石貝類の分類学的検討をするため,東北大学理学部自然史標本館,国立科学博物館,東京大学大学博物館に収蔵されている第三紀化石貝類の模式標本を含む多数の標本について検討を行った.その結果,神戸層群岩屋層,土庄層群四海層および前島層には始新世〜漸新世に特徴的な化石貝類が含まれることが明らかとなり,貝類化石からも浮遊性微化石および同位体年代と同様に,本地域の「瀬戸内中新統」の年代が古第三紀であることが裏付けられた. これらの研究成果については,平成12年6月の日本古生物学会第149回例会の一般講演,同第150回例会のシンポジウム「新生代貝類化石研究の最近の進展と今後の課題」および一般講演において発表した. 尚,これらの成果のうち,岡山県前島層の貝類化石群については,現在,日本古生物学会英文誌Paleontological Researchへ向けて投稿準備中である. このほか,香川県豊島の土庄層群唐櫃層については浮遊性微化石(渦鞭毛藻化石)の分析を行い,始新世を示す種が得られた.これについても現在公表に向けて準備中である. 本年度における研究の結果,瀬戸内海東部沿岸地域と中国山地周辺の「瀬戸内中新統」の年代は全く異なることが明らかとなった.今後は岡山県井原市の浪形層についても同様の検討を行うとともに,これまでに得られた化石貝類の分類学的検討をさらに押し進め,古第三紀における西南日本の古生物地理学的位置づけについて明らかとしていく予定である.
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