2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12740323
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
神長 暁子 鹿児島大学, 理学部, 助手 (40305107)
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Keywords | BZ反応 / 高分子電解質 / 対イオン凝縮 |
Research Abstract |
高分子電解質の電荷選択的な対イオン凝縮という現象を利用し、酸化反応と還元反応が交互に進行する化学振動反応であるBelousov-Zhabotinsky(BZ)反応において酸化型の触媒濃度のみに選択的に摂動を加えることを目的として、Ru(bpy)_3^<2+>およびCe(III)を触媒とするBZ反応系に、アニオン性高分子電解質であるポリビニル硫酸カリウム(PVSK)および電気的に中性なポリビニルアルコール(PVA)を添加し、その効果を検討した。連続流通撹拌反応槽(CSTR)中で振動状態にある系にPVAを添加した場合には、ほとんど影響は見られなかったが、PVSKを添加すると、Ru(bpy)_3^<2+>-触媒の場合には振動周期が長くなり、特に系が酸化状態にとどまる時間が長くなった。さらに添加量を増やすと系は定常状態へと分岐したが、これはPVSKの添加により、高分子イオンと反対荷電の錯体触媒イオンの強い電気的相互作用が起こり、特に酸化型のRu(bpy)_3^<3+>との相互作用が強いために還元過程の進行が抑制されるからであると考えられる。一方、Ce(III)-触媒BZ反応では、PVSKの添加により緩和型の振動から不規則振動を経て短周期の振動へと変化し、最終的には定常状態へと分岐した。この時の振動波形の変化から、PVSKの添加により酸化および還元反応の双方の進行が抑制されているものと思われる。一方、バッチ条件下では、PVAを大量に加えるとPVSK同様の振動抑制効果が観察された。また、この効果は酸濃度や硫酸ナトリウムのような低分子電解質の濃度が高くなると軽減されることが見出された。しかし、高分子電解質の添加による粘度の変化も含め、化学的および物理的な機構の詳細については、さらに検討が必要である。
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