2000 Fiscal Year Annual Research Report
非古典的オニウム種Ph_5Te^+を機軸とする新規超原子価典型元素化合物の合成
Project/Area Number |
12740352
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
箕浦 真生 北里大学, 理学部, 講師 (30274046)
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Keywords | 超原子価 / 典型元素 / X線結晶構造解析 / テルル / カチオン / オニウム |
Research Abstract |
スルホニウムに代表される16族元素オニウム化学種Ph_3Ch^+(Ch=S,Se,Te)は有機化学の発展の過程で古くから研究対象となり用いられてきた。しかしながら超原子価となる16族元素オニウム種Ph_5Ch^+は全く未知であった。本申請課題では中心元素としてテルルを選び、非古典的オニウム種として種々のPh_5Te^+Z^-の合成を行い、性質を明らかにすることを目的とした。 オニウム種Ph_5Te^+Z^-の合成前駆体としてPh_5TeX(X=F,Cl,Br)の簡便合成法を開発し、テルルーハロゲン結合が共有結合であることを結晶構造解析により明らかにした。このPh_5TeXを用いてPh_5Te^+Z^-(Z=ClO_4,[(CF_3)_2C_6H_3]_4B)の合成をハロゲンの引き抜き反応と続くカウンターアニオン交換により行い、いずれも安定な結晶として単離した。X線結晶構造解析により固体中Ph_5Te^+カチオンのテルル周りではいずれも四角錐構造を有していることが明らかになった。通常の中性5配位典型元素化合物や遷移金属化合物が三方両錐構造を有していることとは対照的であり、これら非古典的オニウム種の特徴と言える。これらのPh_5Te^+の溶液中でのNMRでは1種類のベンゼン環しか観測されず、Berryの擬回転状態に有ると言える。また溶液中においても熱的に安定であり、中性のPh_4TeやPh_5Te^-が分解反応を起こすこととは異なる。今後、Ph_5Te^+Z^-の一般的反応性を明らかにするとともに、中心テルル上での付加反応および官能基修飾を行い、新しい6価有機テルル化合物の合成へと応用し、遷移金属化学種に限られていた6配位化合物の典型元素としての特徴を見いだす。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 箕浦真生: "A Convenient One-Pot Synthesis and Structures of Pentaphenyltellurium Monohalides"Oraganometallics. (印刷中). (2001)
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[Publications] 箕浦真生: "Synthesis and Structure of Pentaphenyltelluronium Salts of Perchlorate and Tetrakis {3,5-bis(trifluoromethyl)phenyl} borate : Hypervalent Onium Compounds"Heteroatom Chemistry. (印刷中). (2001)