2000 Fiscal Year Annual Research Report
分子応答による自己集合:籠状多面体ホストの創製と巨大多面集合体への展開
Project/Area Number |
12740378
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
徳永 雄次 福井大学, 工学部, 助教授 (80250801)
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Keywords | 分子認識 / 自己集合 / ボロキシン / 可逆結合 |
Research Abstract |
究計画に従い、1,3-ジブロモベンゼンを出発物として合成素子であるm-フェニレンジ亜ホウ酸を合成した。続いて合成したm-フェニレンジ亜ホウ酸より、目的の多面体ボロキシンの創製を検討した。まず脱水反応を検討したところ、予想通り無秩序な高分子またはオリゴマーが生成したので、次に鋳型合成を試みた。目的の多面体ボロキシンの分子計算を行い、分子空間のサイズや型にマッチした鋳型分子またはイオンを選択し、ゲスト分子による鋳型合成を施策したが、現在までに目的物を得るには至っていない。そこで、モデル化合物を用いてボロキシンの合成とその安定性について検討した。まず、電子吸引基または、電子供与基を有するフェニル亜ホウ酸誘導体を合成し、これらの化合物の脱水反応により得られるボロキシンの性質について調査した。得られた亜ホウ酸とボロキシンを混合物のまま、水存在下CDCl_3を溶媒として核磁気共鳴にて測定を行ったところ、フェニル基に電子吸引基を有する化合物においては、観測限度内にて全て亜ホウ酸として存在しているのに対し、フェニル基或いは電子供与基を有する化合物では、水存在下においてもボロキシンの存在が認められた。本現象は、亜ホウ酸無水物が環状であり、さらに電子供与性置換基が存在することで、その安定性が増し加水分解を妨げられたものと考えられる。一方、オルト位に置換基を有するフェニル亜ホウ酸誘導体では、電子供与基が存在しているにもかかわらず、同条件下全て亜ホウ酸として存在した。オルト位の置換基は、ボロキシン形成に立体障害を与えること、さらにボロキシン形成された場合においてもボロキシン-ベンゼン環が同一平面に存在せず、ボロキシンとベンゼンのπ共役が切断され、安定化されないためによるものと考察される。
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