2001 Fiscal Year Annual Research Report
非緩衝液の微小液滴を使った固体表面の酸・塩基特性の測定方法の開発
Project/Area Number |
12740386
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
酒井 英樹 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 助手 (90277830)
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Keywords | 酸・塩基特性 / 界面張力 / 接触角 / 赤外線放射 |
Research Abstract |
本研究では,非緩衝液の微小液滴が固体表面に接する際に酸・塩基反応によって生じる液滴のpH変化量を液滴のしめす接触角から求めることで,これまで定性的にしか評価できなかった固体・液体間の酸・塩基相互作用を定量的に評価する測定法を提唱する。前年度の研究では,本測定法によって,1平方ナノメートル当たり数個の官能基があり,1つの官能基のイオン化にともなって水素イオンが1個放出されるという条件で,液量1μリットルの非緩衝液の液滴を使用した場合,およそ2倍の差の表面密度を区別できることを明らかにした。本年度は,主に本測定法の有用性を高めるべく測定精度の改善につとめた。測定に用いる液滴の液量の影響,および測定誤差の原因について調査し,以下の点を明らかにした。 1.測定に用いる液滴の液量とpH変化量の大きさの関係について,両者のスケール変化は,体積の次元である液量が長さの3乗で,固体表面の官能基の表面密度に依存するpH変化量が長さの2乗で変化するという単純な幾何学的関係が成り立つ(つまり,液量が少ないほどpH変化量が大きくなり測定精度が上がる)。 2.非緩衝液の溶媒である水の表面張力は温度に大きく依存するため(1℃上昇するごとに-0.15mN/m),接触角を正確に測定するには液滴の温度を一定に保つ必要がある。これまで空気温度(接触温度)のみを制御していたが,液滴が数μリットルと微小であると周囲壁との赤外線放射による熱のやり取りの影響も無視できない。しかし,測定系を取り囲んでいる壁の表面温度を測定温度に一致させることは装置の大きさから考えてむずかしいため,放射温度の影響を軽減させる方法として,周囲壁を金属光沢面(アルミニウム)などの赤外線反射率の高い材質に置き換える方式を採用した。その結果,室温において放射温度の影響を約2割軽減させることができた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 酒井英樹: "非緩衝液の微小液滴を使った接触角滴定による固体表面の酸・塩基特性の測定"表面科学. 21・7. 420-425 (2000)
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[Publications] 酒井英樹: "pHと「濡れ」の関係"パリティ. 16・2. 52-55 (2001)
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[Publications] Hideki Sakai: "Determination of the acid-base properties of surfaces by contact angle titration with buffered and unbuffered solutions"Studies in Surface Science and Catalysis. 132. 825-828 (2001)