2000 Fiscal Year Annual Research Report
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12740389
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
細越 裕子 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (50290903)
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Keywords | フェリ磁性体 / 有機ラジカル / 単一成分 / アミノキシル / ニトロニルニトロキシド / 磁気秩序 / 梯子格子 / 分子性結晶 |
Research Abstract |
新規有機化合物PNNBNO(2-[3'5'-bis(N-tert-butylaminoxyl)phenyl]4,4,5,5-tetramethyl-4,5-dihydro-1H-imidazol-1-oxyl3-oxide)を合成し、単結晶構造解析と1.8-300Kの静磁化率測定を行った。その結果、このトリラジカル分子が単一成分でフェリ磁性モデル化合物となることを示すことが出来た。PNNBNO分子は分子内に3個のラジカル基を含み、各々はS=1/2に相当する。分子内の二つのt-butyl基は互いに室温程度(2J/k_B【greater than or equal】850K)の強い分子内強磁性相互作用で結ばれており、S=1種を形成する。これは、分子内のニトロニルニトロキシドラジカルと2J/k_B=-215K程度の反強磁性相互作用で結ばれている。結晶中ではb軸方向に分子がπ電子平面を平行に積層しているが、分子間にもS=1種とS=1/2種との反強磁性相互作用が働いている。分子内反強磁性相互作用をrungとし、分子間反強磁性相互作用をlegとした、S=1/2とS=1のフェリ磁性梯子鎖構造が実現している。さらにac面内の梯子鎖間の配列もS=1/2種とS=1種が交互に配列したもので、都合三次元的なフェリ磁性構造が実現している。0.1Kまで比熱測定を行った結果、0.28Kで三次元的磁気秩序を観測した。つまりこの物質は、世界最初の純有機フェリ磁性体と考えられる。無機物を含めても単一成分フェリ磁性体は未だ報告例がなく、これは極めて興味深い系である。この成果は現在J.Am.Chem.Soc.に投稿中である。次年度は交流磁化率測定を0.1Kまで行うことで、この物質の磁気的性質を詳しく明らかにしていく予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yuko HOSOKOSHI: "Singlet ground states in an organic S=1/2 spin ladder and a novel double spin chain of ferromagnetic dimers formed by an organic tetraradical"Journal of Physical Society of Japan. 69・4. 1008-1011 (2000)
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[Publications] Yuko HOSOKOSHI: "Synthesis and Magnetic properties of a new complex made up of Mn (hfac)_2 and a radical with a triplet ground state."New Journal of Chemistry. 24・7. 537-540 (2000)