2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ嗅覚レセプター遺伝子の分子進化学的研究
Project/Area Number |
12740413
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
近藤 るみ お茶の水女子大学, 理学部・生物学科, 助手 (40293104)
|
Keywords | 多重遺伝子族 / 嗅覚レセプター遺伝子 / 分子進化 / 遺伝子重複 / 多様化 |
Research Abstract |
1.キイロショウジョウバエとその近縁種の嗅覚レセプター遺伝子の塩基配列の決定 ・キイロショウジョウバエのゲノムには約60の嗅覚レセプター遺伝子が存在することが、明らかになっている。我々はそのうちの9種の嗅覚レセプター遺伝子(2a,24a,33a,33b,33c,46a,46b,47b,59a)について、Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)とその近縁種(D.simulans,D.mauritiana,D.sechellia,D.yakuba)とより遠縁な種(D.takahashii,D.pseudoobscura)などからクローニングを行い、その塩基配列を決定した。 2.嗅覚レセプター遺伝子の塩基配列データの分子進化学的解析 .それぞれの嗅覚レセプター遺伝子について、種内変異、種間変異の特徴を調べ、進化過程についての考察が可能となった。その結果、各嗅覚レセプター遺伝子の誕生時期は非常に古く、それぞれの同義・非同義置換の塩基置換速度、置換の分布等は、分子進化の中立説に従う特徴を示すことが明らかになった。 ・一方、ショウジョウバエの嗅覚レセプター遺伝子の中で比較的最近重複により誕生した33aと33b間に起きた置換の特徴から、特に3番目の膜貫通領域において両者で異なるアミノ酸が多く固定していることが明らかになった。さらに系統学的な解析によって、これらの遺伝子は遺伝子重複直後に正の自然選択(diversifying selection)が働いた可能性が示唆された。このように異なる匂い分子特異性を持つ遺伝子が誕生する過程についての議論が可能となった。
|
Research Products
(1 results)