2000 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおけるミトコンドリアDNAの遺伝様式・機構に関する分子遺伝学的解析
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12740416
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
設楽 浩志 財団法人東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (90321885)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア / 母性遺伝 / マウス |
Research Abstract |
〇初期胚における外来性(体細胞、生殖細胞由来)ミトコンドリアに対する排除能力初期胚のもつ精子由来ミトコンドリアを排除する機構が、他の細胞由来ミトコンドリアに対しても認識・作用するのか否かを検討した。C57BL/6J-mt^<spr2>(Mus spretus型mtDNAを持つ系統)より外来性ミトコンドリアとして、精子が形成される直前の円形精細胞、また体細胞由来として肝臓からミトコンドリアを調整した。調整したミトコンドリアはPIEZOマイクロマニピュレーションシステムにより、C57BL/6J(Mus musculus型mtDNAを持つ系統)の前核期胚に導入した。外来性mtDNAを導入した初期胚は2細胞期、胚盤胞期そして出生個体まで発生させ、各発生段階で回収した後、プロティナーゼK溶液で反応させることでDNA試料とした。その後、系統差によるDNA多型を利用したprimerを設計し、ABI7700システムによる外来性mtDNAのみの定量を行うことで、外来性mtDNAの各発生段階における変化を調べた。その結果、導入した平均150コピーの円形精細胞由来mtDNAは2細胞期では350-450コピーまで増加したものの胚盤胞期には40コピー程度まで低下した。また、出生個体ではほとんど外来性mtDNAは検出されなかった(1/39)。一方、肝臓由来mtDNAは平均30コピー導入され、2細胞期で70コピー、胚盤胞期で30コピーと円形精細胞の時と同様の増減を示したものの、出生個体では約50%(13/25)の伝達率が観察された。つまり、円形精細胞由来mtDNAは肝臓由来mtDNAよりも多いコピー数の導入にも関わらず、子孫には残りにくいことが明らかとなった。以上の結果から、初期胚の外来性ミトコンドリアに対する排除能力は、1)生殖細胞に特異的、2)初期発生過程での時期特異性はない、ことが考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shitara,H. et al.: "Selective and continuous elimination of mitochondria microinjected into mouse eggs from spermatids, but not from liver cells, occurs throughout embryogenesis"Genetics. 156. 1277-1284 (2000)
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[Publications] Yamaoka,M et al.: "Complete repopulation of mouse mitochondrial DNA-less cells with rat mitochondrial DNA restores mitochondrial translation but not mitochondrial respiratory function"Genetics. 155. 301-307 (2000)