2000 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハチョウの環境(季節)適応機構に関わる生理活性ペプチドホルモンの解析
Project/Area Number |
12740462
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山中 明 山口大学, 理学部, 助手 (20274152)
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Keywords | アゲハチョウ / 蛹の体色 / 季節型 / カイコガ / 休眠蛹 |
Research Abstract |
【アゲハチョウ夏型ホルモンおよび蛹表皮褐色化ホルモン】 アゲハチョウ夏型ホルモンの精製に向け、カイコガ脳内に存在する夏型ホルモン活性物質の精製を試みた。カイコガ夏型ホルモン活性物質は、キタテハ短日蛹から夏型成虫を、アゲハチョウ休眠蛹から夏型成虫を出現させる作用を持ち、精製段階ごとに両種を用いた生物検定方法を行った結果、カイコガ夏型ホルモン活性物質は、各精製段階において同一分画に活性が認められた。少量スケール(2400個の脳)での精製過程の検討実験から、もう一段階のカラム操作により、アミノ酸配列決定に使用可能な精製段階に達すると考えている。また、カイコガ夏型ホルモン活性物質の分子量は、ゲル濾過により11,000Da前後と算出された。更に、蛹表皮褐色化ホルモンのより高感度な生物検定方法の改良を行った。 【休眠蛹のオレンジ色蛹の発現調節に関わる内分泌学実験】 オレンジ色の休眠蛹になる環境条件(実験室内で、90%以上がオレンジ色蛹となる)を決定した。この条件下で、前蛹期の結紮実験を行ったところ、前蛹期後半に、頭胸部よりオレンジ化因子の分泌が起こっていることが分かった。続いて、オレンジ色化因子の生物検定方法を確立した。この検定方法を用い、オレンジ化因子の短日終令幼虫の脳-食道下神経節-前胸神経節連合体およびそれ以降の神経節連合体より粗抽出液を作成したところ、オレンジ化因子は胸腹部神経節連合体に存在することが分かった。また、アゲハチョウ蛹体色を決定する因子には、非休眠蛹・休眠蛹にみられる蛹表皮褐色化ホルモンと休眠蛹にみられるオレンジ色化因子がそれぞれ存在するのではないかということが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yamanaka et al.: "Neuroendocrine regulation of seasonal morph development in bivoltine race (Daizo) of the silkmoth, Bombyx mori L."Journal of Insect Physiology. 46. 803-808 (2000)
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[Publications] Yamanaka et al.: "Effects of hormonal factors on pupal cuticle coloration in the swallowtail butterfly, Papilio xuthus L.(Lepidoptera, Papilionidae)"Proceedings of Arthropodan Embryological Society of Japan. 35. 13-16 (2000)
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[Publications] Tsuchihara et al.: "A putative binding protein for lipophilic substances related to butterfly oviposition."FEBS Letters. 478. 299-303 (2000)
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[Publications] Yamanaka et al.: "Purification and characterization of biliverdin-binding protein from larval hemolymph of the swallowtail butterfly, Papilio xuthus L."Bioscience Biotechnology and Biochemistry. 64. 1978-1981 (2000)
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[Publications] 松井茂生 ら: "山口県美袮郡美東町台山(山口県営育成牧場)の蛾類"山口生物. 27(発表予定). (2000)