2000 Fiscal Year Annual Research Report
深海棘皮動物のホメオボックス遺伝子群に関する進化系統学的解析
Project/Area Number |
12740473
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小川 麻里 慶應義塾大学, 文学部, 助手 (30317268)
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Keywords | 深海 / 南極 / 棘皮動物 / 形態形成遺伝子 / ホメオボックス遺伝子群 / 分子系統樹 / 系統 / 進化 |
Research Abstract |
浅海および深海産棘皮動物の形態形成遺伝子群(ホメオボックス遺伝子群:Hox)について系統解析を行い、浅海-深海種の系統進化に関する比較考察を試みている。これまでに深海産13種および浅海産18種からゲノムDNAを抽出し、そのうち深海産7種(ヒトデ綱3種,クモヒトデ綱3種,ウミユリ綱1種)および浅海産4種(ヒトデ綱4種、うち南極産1種)についてPCRライプラリーの作成および塩基配列の決定を行った。 得られたホメオボックス遺伝子群の塩基配列と、データ-ベース上に公開されている浅海産棘皮動物ホメオボックス遺伝子群の塩基配列をもとに予察的に分子系統樹を構築したところ、以下の結果が得られている。 1.Hoxの遺伝子進化は入れ子式? Hox遺伝子の変異は、種分化の前に起る場合(Pre-speciation divergence)と種分化の後起る場合(Post-speciation divergence)があり、「その繰り返し(種→属→目→綱→門)=進化」という仮説が示唆された。 2.深海種と浅海種の比較 深海棘皮動物のHoxの分子系統は浅海棘皮動物のHoxとほぼ同じ性質であり、これは、Hoxの分子進化(変異の蓄積速度)が系統とは必ずしも一致しないことを示唆する。つまり、深海に系統的に古い棘皮動物が生き残っていたとしても、それらが持つHox遺伝子は、独自の進化を遂げている可能性がある。 3.南極ヒトデについて 南極ヒトデはクローニングされるHoxの種類が特別に少なく、得られたクローンは進化速度が遅いと考えられるグループであった。 今後は、以上3点についてより客観的なデータの蓄積に努める必要がある。
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