2000 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場印加型半導体を用いた新テラヘルツ電磁波光源の原理解明と更なる高出力化の試み
Project/Area Number |
12750046
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
大竹 秀幸 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80290899)
|
Keywords | テラへルツ電磁波 / 強磁場 / InAs |
Research Abstract |
本年度は主に高強度コヒーレントテラヘルツ光源の開発を行った。 70フェムト秒チタンサファイヤレーザーを励起光源に用い、超電導磁石のつくる強磁場中に置いたInAsから放射されるテラヘルツ電磁波をシリコンボロメーターでロックイン検波し、その放射強度を測定した。[110]軸に対して平行に磁場を印加した実験では、磁場が3T付近で飽和を起こした。この現象はどの結晶軸に沿って磁場を印加するか、あるいはどのような面方位をもつ半導体を使用するかによって大きく変化すると考えられるので、これらのパラメーターを網羅するように磁場印加方向を5通り変えて実験を行い、テラヘルツ電磁波発生に最適な配置を発見した。 次に偏光フーリエ干渉分光計とシリコンボロメーターを組み合わせた分光システムにより、磁場中のInAsから放射されるコヒーレントテラヘルツ電磁波のスペクトルを測定した。既に今までの研究から、磁場印加によりスペクトルは大きく変化することが判明しており、磁場強度により帯域が大きく変化する。様々な磁場配置に対して測定されたスペクトルを詳細に解析し、先の結果と併せて考察することにより、高帯域で高強度のコヒーレントテラヘルツ電磁波を得られるシステムの構築に成功した。この配置からはサブミリワット級のテラヘルツ電磁波が発生しているものと考えられる。現在、継続的に高出力化に努めており、励起レーザー光の入射角依存性や結晶軸依存性に関しても研究を進めている。最終的にはミリワット級のテラヘルツ電磁波の発生を目指す。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] H.Ohtake et al.: "Supercritical-fluid cell with device of variable optical path length giving fringe-free terahertz spectra"Rev.Sci.Instrum.. 71. 4061-4064 (2000)
-
[Publications] H.Ohtake et al.: "Spectroscopic application of the THz radiation generated by ultrashort pulses, -Static far infrared absorption measurement in condensed phases-"Advances in Multi-Photon Processes and Spectroscopy. 14. 317-338 (2000)
-
[Publications] H.Ohtake et al.: "Development of Intense and Compact THz-radiation source using femtosecond-laser irradiated InAs emitter in a high magnetic field"J.Chinese Chem.Soc.. 47. 609-613 (2000)
-
[Publications] H.Ohtake et al.: "Intense THz radiation from femtosecond laser pulses irradiated InAs in a strong magnetic field"J.Limin.. 87-89. 902-904 (2000)
-
[Publications] 大竹秀幸 他: "「丸善 実験物理学講座9 レーザー測定」櫛田孝司 編"丸善. 341 (2000)