2001 Fiscal Year Annual Research Report
計算科学における大規模マトリックスの数理的諸問題と高速解法の開発
Project/Area Number |
12750057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
張 紹良 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20252273)
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Keywords | 大規模科学計算 / マトリックスの解法 / クリロフ部分空間法 / 一般化共役残差法 / 特異な行列 / 密行列 / 半正定値計画問題 / 前処理技術 |
Research Abstract |
極めて大きな自由度をもつ自然系や人工物系などの振る舞いを理解し、予測するため,既知の基礎法則や支配原理から出発して計算機による大現模計算が不可欠である.現実に起こる大規模計算では,その計算時間の大半がマトリックスを解くことに費やされていると言われている.マトリックスを高速かつ精度よく解くことは計算科学,数理工学,応用数学などの分野においてきわめて重要である. 本研究の目的は,(超)大規模マトリックスのための高速解法として,積型法を含むクリロフ部分空間法を研究し,計算科学の諸問題に応用するものである.これまでの理論の結果をまとめ,理論面の発展を試みると同時に,積型の新解法に並列性を極力損なわない前処理を施し,実際の大規模問題に適用し,(超)大規模マトリックスの計算効率の改善・向上をはかる. 平成13年度の研究業績は次の通りである. 1.科学計算によく現れる特異なマトリックスに対して,我々は,一般化共役残差法が収束するための必要十分条件を見出し,実際問題のケーススタディより,この難しい問題の最終解決に新たな知見を得ることができた.研究結果としては,Numerische Mathematik誌に掲載した. 2.最適化分野のホットトピックである半正定値計画問題に現れる密行列に対して,我々はクリロフ部分空間法を適用することより、大規模半正定値計画問題を解くことに成功した.さらに,計算効率を向上させるため,不完全直交分解法という前処理技術を確立した.研究結果としては,Applied Numerical Mathematics誌に投稿した.
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[Publications] B.Yu: "The aggregate constraint homotopy method for nonconvex nonlinear programming"Nonlinear Analysis. 45・7. 839-847 (2001)
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[Publications] 宮内 努: "Bi-CGSTAB(L)法におけるLの動的選択について"日本応用数理学会論文誌. 11・2. 49-62 (2001)
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[Publications] 阿部 邦美: "SOR法を用いた可変的前処理付き一般化共役残差法"日本応用数理学会論文誌. 11・4. 157-170 (2001)
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[Publications] S.-L.Zhang: "Incomplete orthogonalization preconditioners for solving large and dense linear systems which arise from Semidefinite Programming"Applied Numerical Mathematics. (to appear).
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[Publications] Z.-Z.Bai: "RCG : a regularized conjugate gradient method for symmetric positive definite system of linear equations"J. comput. Math.. (to appear).
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[Publications] 張 紹良: "半正定値計画問題に現れる密行列のための一般化共役残差法"京都大学数理解析研究所講究録. 1198. 186-194 (2001)