2000 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーアロイのミクロ相構造の形態による機械的特性向上機構の解明
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12750082
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
納富 充雄 明治大学, 理工学部, 講師 (70218288)
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Keywords | ポリマーアロイ / 破壊靭性 / ヤング率 / PC / ABS / 有限要素解析 / モルフォロジ / 電子顕微鏡観察 |
Research Abstract |
本研究では,様々なミクロ相構造を有したPC系ポリマーアロイを供試材として,引張試験,破壊試験を行うとともに,有限要素解析によって縦弾性係数の変化を調べた.まず,成分比の異なる6種類のPC/ABSポリマーアロイのモルフォロジ,引張特性ならびに破壊靭性について調べた.その結果,含有率が60%以上においてPCは連続相となり,ABSでは40%以上で連続相となった.さらに,PCとABSの配合比が60%と40%の場合に両樹脂とも連続相となった.ポアソン比,降伏応力ならびに引張強さは複合則を満たす一方,縦弾性係数はPCとABSの両相がともに連続相のモルフォロジで最大値を示した.破壊靭性値はPCとABSの配合比が60%と40%の場合に最大となるが,き裂進展抵抗はPC100%の場合より低い.一方,PCとABSの配合比が80%と20%の場合では,き裂進展抵抗が最大値を取り,破壊靭性値も比較的高い値を取った.以上の結果から,PCが連続相でABSが分散相のモルフォロジにおいて,き裂進展抵抗特性が向上することが分かった.電子顕微鏡観察の結果から,PCが連続相でABSが分散相のモルフォロジの場合には,ABS相の剥離による三軸応力の解放と,ABS相の損傷によるエネルギ消費の相乗効果によって,靭性が強化される事が分かった.次に,有限要素法を用いて成分比の異なるPC/ABSをモデル化し,様々なモルフォロジに対して,応力とひずみの関係を求める解析を行い,材料の特性が縦弾性係数に及ぼす影響について検討した.その結果,縦弾性曲線の傾向が凸型となるのはPC材正方形の中にABS材正方形が入っている状態で平面ひずみ状態,ABS材ポアソン比が0.49の場合とPC材立方体の中にABS材立方体が入っている状態で側面自由,ABS材ポアソン比が0.49の場合であり,いずれもポアソン比の値が大きい.このことから重量比に対する縦弾性曲線が凸型となるのは,側面が収束できる状態においてポアソン比の高い物質が内部に存在する場合と考えられる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 宮田直敏,納冨充雄,岸本喜久雄,渋谷壽一: "ポリマーアロイの縱弾性係数に及ぼすモフォロジの影響"2000年度年次大会講演論文集. Vol.I. 159-160 (2000)
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[Publications] T.J.Wang,K.Kishimoto,M.Notomi: "A Micromechanics Criterion for the Ductile Fracture of a Polycarbonate"Key Engineering Materials. 183-187. 121-126 (2000)
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[Publications] Mitsuo Notomi,Kikuo Kishimoto,Tiejun Wang,Toshikazu Shibuya: "Tensile and Fracture Behaviors of PC/ABS Polymer Alloy"Key Engineering Materials. 183-187. 779-784 (2000)
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[Publications] 納冨充雄,岸本喜久雄,Tiejun WANG,渋谷壽一: "PC/ABSポリマーアロイのき裂進展特性に及ぼすモルフォロジの影響"日本機械学会論文集(A). 66,646. 1151-1156 (2000)