2001 Fiscal Year Annual Research Report
超音波ねじり振動を利用した硬脆材料の延性モード切削
Project/Area Number |
12750103
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
越水 重臣 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (20267868)
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Keywords | 硬脆材料 / 延性モード切削 / 単結晶シリコン / 臨界切込み深さ / 超音波ねじり振動 / アモルファスシリコン / 相転移 |
Research Abstract |
硬脆材料を機械加工する場合、ある臨界切込み深さを超えて小さくしていくと表面に脆性損傷のない高品位な加工面が得られる「延性モード加工」に遷移することが知られている。そこで、本研究では、工具刃先に超音波ねじり振動を加えることにより、臨界切込み深さを増大させ、延性モード加工を容易にし、硬脆材料の高精度・高能率加工を実現することを目的とする。 まず、超音波ねじり振動工具を製作した。製作した装置では、ダイヤモンド工具刃先を周波数27kHz、振幅30μmでねじり振動させることに成功した。その振動工具を超精密微小変位テーブルの上に配置し、切削試験装置を製作した。 製作した実験装置により、単結晶シリコンの切削試験を行い、超音波ねじり振動を付加した場合とそうでない場合で、加工面にクラックやチッピングなどが発生し始める延性-脆性遷移の臨界切込み深さを比較し、超音波ねじり振動付加の効果を調べた。超音波振動を付加しない場合、臨界切込み深さは0.15μmであったのに対して、超音波振動を付加した場合、臨界切込み深さは8.5μmであった。超音波ねじり振動の付加によって、臨界切込み深さを約60倍に増大させることがわかった。 透過型電子顕微鏡(TEM)により、切削面および延性型切りくずの内部構造を観察した。超音波振動切削では、切削面に約800nm,工具すくい面前方部分に約100nmのアモルファスシリコンの加工変質層が形成されていた。さらに、切りくずの微視的構造においても一部に多結晶が存在するものの全体はアモルファスシリコンへの相転移が認められた。単結晶シリコンからアモルファスシリコンへの相転移が延性モード切削を実現させるために必要不可欠な条件と考えられる。
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Research Products
(1 results)