2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750162
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
芝原 正彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40294045)
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Keywords | 量子分子動力学法 / ジュール熱 / 分子動力学法 / 伝熱 |
Research Abstract |
本研究では,薄膜中のジュール発熱を,電子や原子のダイナミックスとしてとらえて,超微細スケールにおけるジュール発熱と電子・原子構造の関係を理論付けることを目的としている.そのために,薄膜中の電子移動によるエネルギ伝達過程を解析する新たな量子分子動力学計算スキームを開発する必要がある.スキーム開発のために,まず金属・半導体中の自由電子の移動を量子分子動力学的に記述して定式化した.次に,導出された基礎式を,原子数層程度の厚さを持つ半無限状に続く薄膜に適用した.簡略化のために,計算系中に1個の電子が存在して移動するモデル系を考えた.本年度は,昨年度開発したプログラムを用いて,二次元薄膜系での,物理的パラメータを変化させることにより,系のエネルギ上昇の変化を考察した.そのための物理的な指標として,電子の移動距離と系のエネルギ上昇の関係を解析して比較を行った.電子格子間ポテンシャルをクーロン型ポテンシャル,湯川型ポテンシャルなどと変化させて解析を行った結果から,電子格子間ポテンシャルは系のエネルギ上昇と電子重心の移動距離の関係に大きな影響を及ぼすことが分かった.また,薄膜の厚さの影響としては,原子数層から原子十数層の薄膜においては,電子重心の移動距離に対する系のエネルギ上昇は膜厚が小さいほど大きくなることが分かった.これらの結果から,原子数個というスケールで観察する場合には,電子の移動距離に対するエネルギ上昇は単純な電子と格子間の衝突モデルでは記述できないといえる.さらに,電子と格子間の相互作用を正確に計算してモデル化するには,その相互作用を精度よく記述して解析を行う必要があるといえる.得られた知見は現在まとめているが,同様の計算手法をもとにした解析結果を発表した.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 芝原 正彦, 香月 正司, 高見 英治: "酸素分子の銀表面衝突過程に対する酸素分子の初期量子状態の影響"日本機械学会熱工学講演会講演論文集. 1巻. 137-138 (2001)
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[Publications] 芝原 正彦, 香月 正司, 東 泰弘, 高見 英治: "酸素分子の表面衝突過程における反応確率とエネルギ伝達に関する分子シミュレーション"日本機械学会第14回計算力学講演会講演論文集. 1巻. 605-606 (2001)