2000 Fiscal Year Annual Research Report
電気粘性効果を利用した粒子配向構造制御による固液混相流中での熱移動制御
Project/Area Number |
12750165
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
後藤 邦彰 山口大学, 工学部, 助教授 (20215487)
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Keywords | 電気粘性流体 / 凝集粒子 / 粒子凝集構造 / 圧力損失 |
Research Abstract |
絶縁性流体中に浮遊させた固液混相流体に外部から電界を印加すると、電界の方向に配向した数珠状粒子凝集構造が形成し、混相流体の見かけ粘度が増加する電気粘性効果が知られている。本研究では、この電気粘性効果を凝集体構造制御法として利用し、固液混相流から熱移動を行う系において粒子凝集構造を制御することにより熱流束制御を行う技術の開発を目指す。 本年度は、熱流束制御の基礎となる粒子凝集体配向構造制御法の検討、すなわち、流路内での電界形成法の検討を行うことを目的として、二次元(矩形断面)流路を用いた実験的検討を行った。その結果、二次元流路の上下壁を電極として直流電界を印加することで流れに対して垂直に配向した凝集体構造を形成できた。一方、平行平板電極を流れ方向に2組上下壁に設置し、上流側の上下壁を正極、下流側を負極として直流電界を印加することで流れと平行に配向した凝集体構造を作成できた。 本装置を用い、熱移動とアナロジーが成立する、運動量輸送に及ぼす凝集体配向構造の影響を検討した。実験では、運動量輸送を反映する管路内圧力損失の配向構造による変化を測定した。粒子濃度5〜40vol%、ビンガム流体を仮定して求めた見かけレイノルズ数範囲20〜1600で測定を行った結果、本実験範囲内では実験条件によらず凝集体形成により圧力損失は増加し、垂直配向した凝集体形成による圧力損失増加量は平行配向した凝集体形成時の約3倍となることがわかった。この配向方向による圧力損失の違いは、数珠状粒子凝集構造を繊維状充填層で近似して繊維層の配向による流体抵抗力の違いを考慮し、さらに、粒子間付着力と流体抵抗力の力の釣合から求められる凝集体切断点数の違いを考慮したモデルにより説明できた。このことは、凝集体形成は流路内に繊維充填層を挿入したのと同じ効果を持ち、配向制御により流体の局所挙動を制御可能であることを示す。
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