2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750238
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
王 道洪 岐阜大学, 工学部, 助教授 (20273120)
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Keywords | 雷 / リーダー / 帰還雷撃 / 最終雷撃過程 / 超長ギャップ放電 |
Research Abstract |
最終雷撃過程は工学上重要である雷撃電流及び落雷点に最も関係する部分である。この最終雷撃による電界変化波形の立ち上がり部分には、穏やかに変化するスローフロント部分と、それに続き急峻に変化するファーストトランジション部分がある。本研究はこのような最終雷撃過程の解明を目的とする。 そこで本研究では自然落雷の最終帰還雷撃について電界アンテナと光速ディジタルカメラによる観測を平成12年度と13年度夏季と冬季に分けて計4回行い、貴重な自然雷の電界と光の同期データを数多く得ることに成功した。用いた電界アンテナの周波数帯域は100Hz〜5MHzであり、その出力は新たに購入した12bitの分解能、サンプリング周波数12.5MHz、記録長8MWordsを有するディジタルスコープにより記録された。用いた高速ディジタルカメラはサンプリング周波数10MHzで、記録長は最大で64000フレームである。電界アンテナとALPSは、ALPSのトリガ信号をディジタルスコープに同時記録することにより、100nsの精度で時間同期していた。 本研究より得たデータを基にして、スローフロントの開始点として以下の3つの場合を想定し、最終雷撃過程のモデルを検討した。(1)コネクティングリーダが進展を開始したとき、(2)下向き進展リーダとコネクティングリーダが結合したとき、(3)両リーダが結合し、その点から下向きに進展する波頭が大地に達したとき。その結果、以下のことが明らかになった。下向きリーダが高度約300m付近に進展すると地上から上向きリーダが発生する。上向きリーダもステップドリーダであり、リーダパルスが下向きリーダのパルスよりも大きい。下向きリーダの速度は4×10^6m/sであり、帰還雷撃進展速度は平均で1.2×10^8m/sとなる。スローフロント開始時には放電路下部において、発光の増大が始まる。ファーストトランジション開始時には、高度約300m付近の放電路において発光の増大が開始し、高度約100m付近の放電路において発光が急激に立ち上がる。また、放電路最下部における発光強度変化率のピーク点と電界変化のピーク点が時間的に一致し、そのとき、高度約350〜400m付近の放電路において発光の増大が開始し、高度約150〜250m付近の放電路において発光が急激に立ち上がる。これらの結果を基に最終雷撃過程のモデルを考案した。 実験で得られたデータの解析を今でも進んでおり、上記結果以外にも多くの成果が期待できる。また、本研究を通じて新型雷観測用高速ディジタルカメラを開発する糸口を見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] D. Wang: "Correlated Sub-microsecond E-field and High-speed Image of the Natural Lightning Attachment Process"Proceedings of the 2001 Aerospace Congress. 2882 (2001)
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[Publications] N. Takagi: "R-L-C-G transmission line parameters for progression of return strokes"Proceedings of 5^<th> International Workshop on Physics of Lightning. 43-47 (2001)