2001 Fiscal Year Annual Research Report
電子付着性ガスを徴量混入した電力機器用環境低負荷形絶縁媒体ガスの研究
Project/Area Number |
12750243
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大塚 信也 九州工業大学, 工学部, 助手 (60315158)
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Keywords | 環境低負荷絶縁媒体ガス / SF6 / N2 / CO2混合ガス / 絶縁特性 / 部分放電 / シナジズム効果 / ガス絶縁開閉機器(GIS) / 地球温暖化 |
Research Abstract |
SF_6ガスは、優れた絶縁特性を有し機器のコンパクト化・高信頼性化に大きく貢献するため、高電圧ガス絶縁機器の主絶縁媒体として広く使用されているが、温室効果ガスであるため使用量削減が要請されている。このような背景のもと、本研究では、SF_6ガスの使用量削減の実現性を絶縁特性に基づき実験的に検討するとともに、環境低負荷形の新たな絶縁媒体ガスの開発可能性を理論的に検証することを主たる目的とし、混合ガスに着目した研究を実施してきた。その結果、以下のことを明らかにした。 1.SF_6/N_2混合ガスにCO_2ガスを適当な割合で混合すると、不平等および平等電界下共に絶縁破壊電圧V_Bは上昇することを明らかにした。不平等電界下でV_Bが最大となるCO_2混合割合はSF_6使用量に依存することを示した(10%SF_6の場合、CO_2は60%が最適)。 2.10%SF_6/30%N_2/60%CO_2混合ガスを9気圧まで加圧することで、現行GISで使用されている5気圧SF_6と同等の絶縁耐力となることを実器GISを用いて示した。このとき、SF_6使用量は82%低減できたことになる。 3.SF_6/N_2/CO_2混合ガスとSF_6およびSF_6/N_2混合ガスの部分放電の光学特性や時系列特性を詳細に比較検討した。その結果、交流正サイクルにおける時系列特性はガス圧力依存性を示し、CO_2を混合すると高がス圧領域までリーダ発生の抑制を示す特性が得られたこと、インパルス破壊時の部分放電発光特性は、CO_2を混合すると部分放電開始から破壊に至るまでの時間が長くなり、破壊電圧が上昇することがわかった。以上のように、CO_2を混合すると部分放電が発生しても破壊に至りにくいことが確認され、これはCO_2の解離により生じるCOの高い解離エネルギーに基づくリーダ転移の抑制が起因していることを示唆した。 4.破壊電界に基づきスペーサ効率を0.6〜0.8と仮定して(SF_6は0.7)、現行GISと同一圧力とした場合の10%SF_6/30%N_2/60%CO_2混合ガスのGISタンク経とSF_6の削減量を試算した結果、タンク経は1.73〜1.30倍となり、SF_6使用量は70〜83%低減できることがわかった。
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Research Products
(18 results)
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[Publications] 大塚 信也: "平等電界下におけるCO_2/N_2/SF_6混合ガスの絶縁特性"電気学会論文誌B. 122巻3号. 429-435 (2002)
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[Publications] 大塚 信也: "不平等電界下におけるCO_2/N_2/50%SF_6混合ガスの絶縁特性"電気学会論文誌B. 121巻7号. 830-836 (2001)
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[Publications] S.Ohtsuka: "Insulation Properties of CO_2/N_2 Gas Mixtures with a Small Amount of SF6"Gaseous Die1ectrics IX. Vol.9. 295-300 (2001)
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[Publications] S.Ohtsuka: "PD Inception and Breakdown Voltage Characteristics in PFC and SF_6 Gas Mixtures"Gaseous Dielectrics IX. Vol.9. 211-216 (2001)
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[Publications] M.Cho: "Study on Insulation Capability of High Temperature Gas Via Laserproduced Plasma"Gaseous Dielectrics IX. Vol.9. 351-356 (2001)
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[Publications] M.Koumura: "Time-sequential Characteristics of Partial Discharge in SF_6/N_2/CO_2 Gas Mixture under dc Non-uniform Field"Proc. of 2001 Japan-Korea Joint Symposium on ED & HVE. 337-340 (2001)
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[Publications] M.Mori: "Effects of Laser-produced Plasma Simulating High Temperature Gases at Arc Quenching on Flashover Voltage"Proc. of 2001 Japan-Korea Joint Symposium on ED & HVE. 145-148 (2001)
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[Publications] 江口 和寿: "交流正サイクルにおけるN_2/C_3F_8とCO_2/C_3F_8混合ガスの部分放電特性"平成13年 電気学会 電力・エネルギー部門大会論文集. Vol.B. 338-339 (2001)
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[Publications] 高村 正樹: "SF_6/N_2/CO_2混合ガスにおける交流正サイクル部分放電の時系列特性"平成13年 電気学会 基礎・材料・共通部門大会論文集. 55 (2001)
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[Publications] 趙 孟佑: "遺伝アルゴリズムによる最適絶縁性能を有した混合ガスの探索"平成13年 電気学会 基礎・材料・共通部門大会論文集. 151 (2001)
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[Publications] 趙 孟佑: "環境低負荷形絶縁媒体ガスの絶縁特性に関する研究"第2回 九州・電力技術研究会. 21-26 (2001)
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[Publications] 高村 正樹: "直流電圧印加時におけるSF_6/N_2/CO_2混合ガスの部分放電時系列特性"平成13年度 電気関係学会九州支部連合大会講演論文集. 248 (2001)
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[Publications] 森 正樹: "アーク遮断時高温ガスを模擬したレーザ生成プラズマによる短ギャップ電極間の絶縁破壊特性"平成13年度 電気関係学会九州支部連合大会講演論文集. 228 (2001)
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[Publications] 江口 和寿: "遺伝的アルゴリズムから決定した最適絶縁性能をもつ混合ガスの絶縁破壊特性"平成13年度 電気関係学会九州支部連合大会講演論文集. 249 (2001)
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[Publications] 江口 和寿: "遺伝アルゴリズムにより決定したPFC混合ガスの絶縁特性調査による絶縁性能最適化への検討"電気学会 放電/誘電・絶縁材料/高電圧合同研究会. 19-24 (2002)
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[Publications] 高村 正樹: "SF_6/N_2/CO_2混合ガスにおけるインパルス絶縁破壊時の部分放電発光特性"平成14年 電気学会全国大会. Vol.6. 133 (2002)
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[Publications] 森 正樹: "アーク遮断時高温ガスを模擬したレーザ生成プラズマによる短ギャップ電極間の絶縁破壊電圧測定"平成14年 電気学会全国大会. Vol.6. 37 (2002)
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[Publications] 江口 和寿: "遺伝アルゴリズムによる最適混合ガス探求のためのC_3F_8混合ガスの絶縁破壊特性"平成14年 電気学会全国大会. Vol.6. 130 (2002)