2000 Fiscal Year Annual Research Report
パルスイオンビーム蒸着法によるジルコン酸チタン酸鉛薄膜の作製と組成・特性の評価
Project/Area Number |
12750276
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
曽根川 富博 琉球大学, 工学部, 助手 (20295299)
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Keywords | ジルコン酸チタン酸鉛 / パルスイオンビーム蒸着 / 強誘電体薄膜 / ラザフォード後方散乱分析 |
Research Abstract |
大強度パルスイオンビームをジルコン酸チタン酸(PZT)焼結体ターゲットに照射して得られるアブレーションプラズマを用いて,シリコン基板,パイレックスガラス基板へPZTの成膜を行った。成膜は,ビームエネルギー〜1 MeV,ビームパルス幅〜50 nsのH^+ ビームを,照射1回あたりPZTターゲットへエネルギー密度〜80 J/cm^2でビームを1回から10回照射して行った。また,基板の設置のしかたで,基板ホルダーのターゲット側に置いた場合(正面堆積),反対側に置いた場合(背面堆積)の2通りの成膜を行った。用いたターゲットの組成は,Zr:Ti比0.5:0.5である。その結果本年度以下の結果を得た。 1.正面堆積では,ビーム照射1回で膜厚400nmの薄膜が生成できた。しかし膜表面にはドロップレットと呼ばれる付着物が見られた。背面堆積では,ビーム照射1回で膜厚40nmであったが,表面にはドロップレットが見られなかった。 2.パイレックスガラス基板上に得られた薄膜の比誘電率(ε_r)は,正面堆積,背面堆積それぞれ,340,23の値を得た。ターゲットのε_rは,400〜500程度であったので,正面堆積で得られた薄膜は原材料に近いε_rを持つことがわかった。正面堆積で得られた薄膜の比誘電率が背面堆積より大きいのは,堆積したプラズマの量が大きいために,プラズマの内部エネルギーにより基板が加熱されたためと考えられる。 3.X線回折の測定では薄膜中のPZTが結晶化している証拠(回折ピーク)は得られなかった。今後は,電子線回折を用いてより詳細な結晶性の評価を行う必要があることがわかった。 4.ラザフォード後方散乱分析法による薄膜組成の測定で,薄膜中の元素比は,Pb:Zr:Ti:0=1:0.5:0.5:3であることがわかった。よってターゲットの組成と等しい薄膜が得られることがわかった。
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Research Products
(1 results)