2000 Fiscal Year Annual Research Report
リフトオフによる半導体ダイヤモンド単結晶薄膜の作成と物性評価
Project/Area Number |
12750281
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
八田 章光 高知工科大学, 工学部, 助教授 (50243184)
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Keywords | ダイヤモンド / 半導体ダイヤモンド / 単結晶薄膜 / リフトオフ / ホモエピタキシャル成長 / イオン注入法 |
Research Abstract |
マイクロ波プラズマCVD装置(既設)を用いて、メタン水素混合ガスを原料とし、高温高圧合成ダイヤモンドIb型の基板上に気相ホモエピタキシャル成長を行なった。イオン注入深さは水素など高速軽イオンで最大4〜5μm程度であり、これより厚いホモエピタキシャル成長層を作製する必要がある。しかも高品質なダイヤモンドを成膜するため、成長速度を約0.5μm/hまで低下させて約10時間の成長を行った。 高速イオン源(既設5MeVイオン散乱分光装置)を使用し、シミュレーションに基づいてヘリウムの高速イオンを注入した。数μm程度の深い位置に欠陥層が形成されたことを確認するため、走査型電子顕微鏡を用いて電子線で励起して、カソードルミネッセンス分光法(大阪大学に既設の設備を借用)により深さ方向の欠陥分布を測定した。また、顕微ラマン散乱分光法(既設装置)により膜中の応力の分布、高速イオン散乱分光法(既設装置)により注入された元素の分布、結晶の完全性などを評価した。今回は十分な注入時間が得られず、リフトオフには到らなかった。ヘリウムに比べて水素イオン(プロトン)の場合には原子半径が小さく、欠陥が少なくまた深くまで注入できると予想されるが、これまでに高速イオン源で水素イオンを発生した経験がないため、今年度は水素イオンの安定な運転条件を模索した。今のところイオン電流が小さく、リフトオフには不十分であるため、来年度はイオン電流の増加する必要がある。これにはイオン源の放電条件の調整が必要である。
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