2000 Fiscal Year Annual Research Report
金属-酸化物同時電析法によるグラニュラ薄膜の形成とマイクロ磁気デバイスへの応用
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12750283
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 直幸 大阪府立工業高等専門学校, 電子情報工学科, 助教授 (90249813)
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Keywords | グラニュラ薄膜 / 電析 / 金属-酸化物同時電析法 / 磁気特性 / 錯化剤 / ESCA / グリシン |
Research Abstract |
本研究では,次世代のGHz帯磁性材料として高抵抗,軟磁気,GMR(TMR)特性が期待されている金属-酸化物系グラニュラ薄膜をウエットプロセスにより作製することを目指している.そのために,金属(Co)と酸化物(CeO_2)を還元反応によって同時に析出させることができる金属-酸化物同時電析法と呼ぶ我々の考案した方法を用いている.この方法においては,酸化物は,硝酸が亜硝酸に還元される際にできるOH^-がCeイオンに結びつくことで形成される.しかし,硝酸セリウムと硫酸コバルトだけを含む単純な溶液を用いて電析しても,OH^-がCeイオンだけではなく,Coイオンにも結びつき,Coの酸化物(もしくは水酸化物)が析出し,金属Coの析出が困難であるという問題があった.そこで,Coイオンと錯体を形成し,Ceイオンとは錯体を形成しにくい錯化剤を反応液に添加し,Coの酸化(水酸化)を防ぐことを考えた.錯化剤の選定は,安定度定数を目安に行い,Ceに対して小さな安定度定数を示し,Coに対して適当な安定度定数を示すグリシンを選んだ.また,pH緩衝剤としてほう酸を加え,界面pHが必要以上に上昇することを防いだ.さらに,界面pHの制御のためにリニア駆動型パドルめっき装置と呼ばれる基板近傍の溶液を攪拌する装置を試作した.その結果,ESCAによる化学結合状態の観察より,金属CoとCeO_2が同時に析出した膜が得られることが分かった.また,グリシン濃度が増加すると保磁力が低下し,飽和磁化が増加し,磁気特性の改善が図れ,グリシン濃度500mMの時に保磁力300Oe,飽和磁化36emu/gの磁気特性を持つCo-Ce-O薄膜を得ることができた.本研究により,金属-酸化物同時電析法が金属-酸化物系グラニュラ薄膜の作製に有効であることが確かめられた.
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Research Products
(1 results)