2000 Fiscal Year Annual Research Report
無金属フタロシアニン有機電界発光素子のNO_2ガス応答特性に関する研究
Project/Area Number |
12750295
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
新保 一成 新潟大学, 工学部, 助教授 (80272855)
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Keywords | フタロシアニン / 有機電界発光 / NO_2ガス / 開放端電圧 / センサ |
Research Abstract |
無金属フタロシアニン(H_2Pc)を発光層とする、ITO電極/H_2Pc/Alの構造の有機電界発光素子を作製し、NO_2ガス吸着に伴う電気特性、発光特性の変化について調べた。電導電流はNO_2ガスの吸着と脱着により増減し、可逆性が見られた。これは、吸着したNO_2ガスがH_2Pcから電子を奪って負イオン化し空乏層幅を変えることや、ガス吸着により生じる準位の寄与などにより、H_2PcとAl界面の影響が小さくなること、またガス吸着によって発生する正孔による抵抗率の低下などのため、電流が流れやすくなることが原因と考えられた。なお、電流電圧特性からNO_2ガス中での素子の伝導機構はプールフレンケル伝導が支配的と考えられたが、真空中ではショットキー伝導に近くなるという実験結果が得られた。これは、真空中では印加電界が空乏層に集中して、プールフレンケル伝導を示すH_2Pc層にかかる電界が小さくなったことによると考えられた。また、NO_2ガス流入による電流値の増加と共に素子のEL強度は増大しただけでなく、電流値一定として真空中とNO_2ガス中においてEL特性を測定した場合も、ガス中においてEL強度が大きくなった。ガス中における発光効率の向上の機構はまだ明らかではないが、電極からのキャリヤ注入や発光プロセスの変化が生じるなどのことが考えられた。さらに、NO_2ガス吸着によりITO電極を正電圧とする開放端電圧の発生も観測された。これは、H_2PcとAl界面の空乏層付近で発生した正孔が内蔵電界に沿って素子中をITO電極側へ移動することに基づくと推察された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Shinbo,M.Minagawa,H.Takasaka,K.Kato,F.Kaneko and T.Kawakami: "Electrical and Luminescence Properties Due to NO_2 Gas Adsorption in EL Device of Metal Free Phthalocyanine"10th Int.Workshop on Inorganic and Organic Electroluminescence, Hamamatsu, Japan. P-37. 203-206 (2000)
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[Publications] K.Shinbo,M.Minagawa,K.Kato,F.Kaneko and T.Kawakami: "Electrical and Luminescent Properties Due to Gas Adsorption in Electroluminescent Device of Metal-Free Phthalocyanine"9th Int.Conf.on Organized Molecular Films,Potsdam,Germany. Vol.II,P188. 208 (2000)
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[Publications] 新保一成,皆川正寛,高坂秀明,加藤景三,金子双男,川上貴浩: "無金属フタロシアニンを発光層とする有機電界発光素子のNO_2ガス吸着による電気伝導と発光特性の変化"電気学会誘電・絶縁材料研究会. DEI-00-82. 31-36 (2000)
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[Publications] 新保一成,坂井栄吾,皆川正寛,高坂秀明,加藤景三,金子双男,川上貴浩: "無金属フタロシアニン有機電界発光素子におけるNO_2ガス吸着による電圧発生"第61回応用物理学会学術講演会. 3a-L-10. 1070 (2000)
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[Publications] 坂井栄吾,川上貴浩,新保一成,加藤景三,金子双男,田所豊康: "連続蒸着装置の構築と有機電界発光素子の作製"第10回電気学会東京支部新潟支所研究発表会. I-9. 12 (2000)
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[Publications] 坂井栄吾,川上貴浩,新保一成,加藤景三,金子双男,田所豊康: "陰極近傍のナノ構造制御による有機電界発光素子の特性改善"第48回応用物理学会関係連合講演会(2001年3月講演予定).