2000 Fiscal Year Annual Research Report
暗号技術における処理実行時刻と状態変化に係わる問題の解決
Project/Area Number |
12750312
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
満保 雅浩 東北大学, 情報処理教育センター, 助教授 (60251972)
|
Keywords | 処理順序 / ディジタル署名 / 多重署名 / RSA暗号 / 順序付署名 |
Research Abstract |
本研究では「処理の実行時刻」に着目して,暗号技術の処理順序の違いが処理結果に反映するような方式を考案し,かつ,処理の実行時刻ごとの「状態の変化」に伴い,如何なる処理を実行すべきであるかについて検討している. 本年度は特にメッセージの内容と作成者名の正当性を保証する技術であるディジタル署名を取り上げて検討を行った.具体的には,署名生成の処理順序の違いが生成する署名の値に直接的に反映される方式を新しく考案し,その安全性について考察した.署名生成処理順序は,署名者の所属する組織における署名者の責任の受け持ち具合など,署名者の組織内での立場と密接に関連しており,順序自体が意味を持つため,署名生成処理順序が変更されるなどの不正が行われないようにしなくてはいけない. 一般に,署名生成の処理順序は,各署名者が順番に署名生成処理を行う直列型と,各署名者が同時に署名生成処理を行う並列型の2つに大きく分類することができる.この2つの処理順序を組み合わせれば,階層構造など,より複雑な署名順序を取り扱うこともできる.つまり,これはまた,複雑なグループ構造をもつ署名者の集合における署名生成を議論していることにもなる. そこで,RSA暗号を変形することにより,これら各種の構造に対応して異なる署名を生成できる署名方式を新しく考案した.この方式は署名検証処理が効率的になるという利点も有する.そして,提案する方式を解く難しさが暗号学的に難しく,かつ,基礎的と考えられる問題に帰着することを示すことにより,安全性の証明を行った.
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Hiroshi Doi: "On the Security of the RSA-Based Multisignature Scheme for Various Group Structures"Information Security and Privacy. LNCS1841. 352-367 (2000)
-
[Publications] 土井洋: "様々な署名構造に適用可能なRSA型多重署名方式"情報処理学会論文誌. 41・8. 2080-2091 (2000)