2000 Fiscal Year Annual Research Report
端末間通信を用いた自律分散パケット無線ネットワークに関する研究
Project/Area Number |
12750327
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
上原 秀幸 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (00293754)
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Keywords | 無線ネットワーク / Ad Hocネットワーク / マルチホップ / 自律分散 / ルーティング |
Research Abstract |
本研究は,移動通信端末に中継機能を持たせ,端末のみによる自律的なネットワークを構築することによって端末間通信を実現することを目的としている.具体的には,1)災害時の安否確認ネットワーク,2)エリア拡大ネットワーク,3)小グループ自律分散ネットワークの実現を目指している.本年度は,1)安否確認ネットワークの実現に主眼を置いた.我々は既に,経路情報を用いて安否情報を一括収集する方式を提案し,その有効性を確認していたが,評価対象となるエリアが狭いものに限られていた.今回,より大きなエリアで検討した結果,エリアの中心付近では経路を構築できない穴ができてしまうことが確認された.これは,端末の密度が大きくなる程,またトラヒックが大きくなる程顕著であった.そこで,クラスタリングによるネットワークの階層化を行うことにより,端末の役割分担をし,密度とトラヒックの低減を図った.その結果,クラスタリングに要する時間を考慮しても,迅速に効率良く安否情報が収集できることが確認できた.今後,端末の役割分担による負荷の不均衡の是正とトポロジー変化が激しいときの再クラスタリングによるオーバーヘッドの増加の低減を検討する必要があろう. 一方,端末間通信の要素技術となるルーチング法についても検討した.アドホックネットワークの典型的なルーチング法としてDSRがあるが,最短ルートを決定するため,移動などによりリンクが切断されるとオーバーヘッドが増加してしまう.これに対し,ABRやSSAでは,リンク間のコストを考慮しているが,そのためには端末間の定期的な情報交換が必須である.そこで,定期的な情報交換なしに切れにくいルートを構築できる方式を提案し,簡略化モデルでその有効性を確認した.今後,リンク間コストを具体的に定義し,環境に応じた指標を導入する必要がある.
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