2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750385
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
神山 斉己 愛知県立大学, 情報科学部, 助教授 (70233963)
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Keywords | 網膜 / 数理モデル / 視細胞 / 水平細胞 / 双極細胞 / 神経節細胞 / シミュレーション解析 / シナプス伝達機構 |
Research Abstract |
網膜に投影された外界像は,視細胞により並列的に受容され,水平細胞,双極細胞等からなる網膜神経回路による実時間情報処理を受け,神経節細胞で神経インパルス列に変換される.本研究は,こうした網膜内での一連の情報処理過程を数理モデルとして記述することによって,色情報,空間情報,動き情報等の視覚情報がどのように符号化されるのか,その具体的機構と機能的意義を明らかとすることを目的としている. 本年度は,従来研究によって構築した視細胞と2次ニューロンである水平細胞の数理モデルを接続し,網膜の初期情報処理過程のモデル化を行うため,シナプス伝達機構の数理モデル化を進めた結果,水平細胞から錐体視細胞へのフィードバック伝達に関して新しい知見を得た. さて,反対色信号や中心-周辺拮抗型受容野は,視覚系の色情報,空間情報の基本的な表現様式である.こうした情報処理において,水平細胞から錐体へのフィードバックが重要な役割を果たすと考えられており,GABA作動性シナプスおよび錐体シナプス終末部のCa電流の特性変化の2種類のフィードバック機構の存在が考えられている.本研究では,生理学的な知見に基づいたシナプス部の数理モデルを構築し,これら2種類のフィードバック機構の働きをシミュレーション解析した.フィードバックの影響が大きいと考えられるスペクトル応答特性を対象にシミュレーションを行ったところ,GABAを介したフィードバックを持つモデルでは,錐体内節部において生理実験では観測されない脱分極応答が生じてしまうことがわかった.一方,シナプス終末部のCa電流の特性変化によるフィードバックを持つモデルは,反対色信号生成過程を再現できることがわかった.これらの結果は,水平細胞から錐体へのフィードバックには,シナプス終末部のCa電流の特性変化が重要な働きをしていることを示唆するものである.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 神山斉己: "網膜水平細胞から錐体へのフィードバック機構に関するシミュレーション解析"生体・生理工学シンポジウム論文集. 15. 385-388 (2000)
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[Publications] 石原彰人: "Computational analysis on the light response of the retinal ON-type rod bipolar cell"The 7th International Conference on Neural Information Processing. ICONIP-2000. 520-525 (2000)
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[Publications] 青山俊弘: "Ionic current model of rabbit retinal horizontal cell"Neuroscience Research. 37. 141-151 (2000)