2000 Fiscal Year Annual Research Report
3次元応力とひび割れをうけるRC構造中の付着伝達領域の特定と立体ゾーニング
Project/Area Number |
12750417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安 雪暉 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50312971)
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Keywords | 鉄筋コンクリート / ひび割れ / 付着 / 非線形解析 / 有限要素 |
Research Abstract |
本年度の研究では、3次元応力とひび割れを考慮したゾーニング手法の3次元FEM解析への完全なる適用を達成する大きな目的の下に,鉄筋の付着効果の根本的機構を把握することを目的に設定する。具体的には引張鉄筋のみを有する梁を基準として引張鉄筋以外に比較的鉄筋比が小さい軸方向の試験鉄筋を有する梁を数種類作成し,個々の供試体における試験鉄筋の付着効果のせん断耐力に対する貢献を検証する。その際,試験鉄筋の配置・直径・降伏強度を変化させ,それぞれの情報に対する付着効果の依存性を考察しゾーニング手法の3次元解析への適用におけるRCゾーンの設定方法の確立に役立てる。実験結果を比較し,解析によってそれぞれの情報に対するせん断補強筋の付着効果の依存性を考察しゾーニング手法の3次元解析への適用におけるRCゾーンの設定方法の確立に役立てる。実験結果から鉄筋比が小さい鉄筋を単独で1本入れても構造物内に及ぼす付着効果はほとんど見られないことがわかった。しかしながら、同じ鉄筋比でも断面積を分割して断面内に分散して鉄筋を入れると,せん断ひび割れ発生荷重の向上に繋がるほどの付着効果が見られた。この実験結果は供試体切断によるひび割れ内部状況観察からも裏付けられた。 実験結果を利用し、マイクロアナライシスによって得られたコンクリート内応力分布,応力-ひずみ関係をもとに鉄筋の付着メカニズムの考察を行い,低鉄筋比部材における付着領域のモデル化とその中で用いるコンクリート引張構成則について検討を行った。各鉄筋の伝達応力により発生する付着効果はかぶり厚によって大きな影響を受けること,鉄筋のテリトリを設定したとき,その内部では応力分布が一様とみなせる ことが解析により認められた。提案する付着モデルの整合性を実験との比較によって検証した。構成則内部に鉄筋径と部材径をパラメータとして組み込み配筋の違いを表現することで,付着効果の判定が適切に行えることが実証された。また曲げ部材に限らず,せん断破壊する部材に対しても精度よく解析が可能となることが示唆された。これによって解析から得られたテリトリーモデルが実構造物の解析に適用可能であることが実証された。テリトリ内の構成則の設定に関しては疑問に残る点が多く,来年度の検討課題である。また,隣接する鉄筋間距離が極端に小さい場合など,付着領域の設定法にも課題が残された。
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Research Products
(1 results)