2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750429
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
深田 宰史 金沢大学, 工学部, 助手 (10313686)
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Keywords | 橋梁振動 / 低周波空気振動 / 車両ばね下振動 |
Research Abstract |
高架橋のジョイント部における段差を車両が通過すると,10〜20Hzの空気振動が橋梁直下から伝播し,橋梁周辺の民家の窓を揺らし居住環境を脅かしている.このような低周波空気振動問題は,騒音や地盤振動とは異なり,法基準が定まっていない上に,法基準と苦情の実態に不一致が見られるため,現象をより複雑化している.この低周波空気振動に対して,本年度は,現象の解明,車両走行による動的解析プログラムの作成を行った. 現象の解明では,橋梁の振動モードと受音点で得られた卓越振動数との関係を調べた.対象とした橋梁は,短支間PC桁橋(支間長10.144m),4径間連続上路トラス橋(支間長77.0m+77.5m+88.0m+88.0m)の2橋である.4径間連続上路トラス橋については,現在,日本に架設例がない新形式橋梁である鋼トラスウェブPC橋の代用とした.この2橋に対して車両走行による振動実験を行い,橋梁と受音点での振動特性について調べた.その結果として,走行する車両のばね下振動数と橋梁の振動モードとの共振(10〜20Hzの振動数領域)が原因であることがわかった.そのため,車両のばね下振動数と橋梁の振動数とがかけ離れていた場合には共振しないこともあり,すべての大型車両の走行で生じている問題ではないことがわかった.10〜20Hzの振動数領域における振動モードが影響しているため,10m程度の短支間PC桁橋では,1次のたわみ振動数(10〜15Hz程度)が低周波空気振動の発生原因となっていた. 車両走行による動的解析プログラムの作成では,有限要素法を用いて作成された橋梁上を立体車両が走行するプログラム(FORTRAN言語)を作成して,実橋で得られた振動特性を解析上でも表現できるようにした.なお,解析では,New markβ法を用いた直接積分法による逐次積分法を行って車両-橋梁系の方程式を解いている. 来年度は,新形式橋梁である波形鋼板ウェブPC橋を対象として振動実験を行い,側面での波形鋼板から発せられる低周波空気振動特性について調べたい.さらに,解析上である程度シミュレーションできる段階まで研究を進めたいと考えている.
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