2001 Fiscal Year Annual Research Report
佐賀低平地における海成粘土層の塩分溶脱メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
12750455
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
日野 剛徳 佐賀大学, 低平地研究センター, 講師 (20295033)
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Keywords | 海成粘土 / 塩分溶脱 / 高鋭敏性 / 高圧縮性 / 地下水流動 / 同位体 / 堆積環境 |
Research Abstract |
平成12年度の調査結果から、塩分溶脱メカニズムの基礎知見として次のことを得た。地下帯水層では塩水化が進んでいるが、その水質組成は海水のそれに類似しないことから、陸域における塩分供給源の存在を考慮しないと説明できない。また、地下帯水層の水質は、酸素を含み酸化状態にあるものが見受けられた。一方、海水環境で堆積した海成粘土層の塩分濃度は著い低下の傾向を示した。また、その酸化還元状態も弱い還元状態にあった。以上のことから、地下では自然状態のもとでは考えられない速さで地下水流動が進んでいることが示唆された。 上述のことを詳しく確かめるために、平成13年度はまず、放射性同位元素トリチウムの分析結果から年代に関する検討を行い、水素・酸素の各同位元素の分析結果から起源に関する検討を行った。次に、移流拡散解析プログラムを用いて塩分溶脱メカニズムに関する解析的検討を行った。以上の結果から、塩分溶脱現象は、自然状態のもとでは考えられない速さで進んでいることが確かとなり、佐賀低平地における季節的な地下水揚水による粘土層中地下水(間隙水)と帯水層地下水の混合が主な原因であるとの結論を得た。このことから、佐賀低平地における海成粘土の高鋭敏性・高圧縮性もまた、人為的な活動によって生起された性質であるとみなせる。 今回の研究結果から、海成粘土の高鋭敏性・高層縮性の生成メカニズムについて、初めて年代・起源の視点を取り入れることが可能となった。このような視点に基づいて海成粘土の土質特性の解明に取り組んだ事例は皆無であり、今後の理解に新たな視点をもたらすものと考える。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 鶴田健太郎, 日野剛徳, 八谷陽一郎: "佐賀低平地における有明粘土層の塩分溶脱メカニズムに関する一考察"土木学会第56回年次学術講演会講演概要集. DISK1・III-A314. 628-629 (2001)
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[Publications] 日野剛徳, 根上武仁, 山寺彰, 西田耕一, 鶴田健太郎, 小柳晋太郎: "佐賀低平地における沖積粘土層の地盤特性に関する物理化学的考察"有明粘土の建設分野における有効利用に関するフォーラム資料集,有明粘土の建設材料化研究会ら編,佐賀大学. 5-11 (2001)
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[Publications] 日野剛徳: "有明海沿岸域における底質の堆積環境と沈降堆積特性"第4回佐賀新技術フォーラム〜有明海の再生に向けて:はじまった試み〜,佐賀県地域産業支援センターら編. 21-26 (2002)
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[Publications] 楢橋健, 小柳晋太郎, 日野剛徳: "貝殻・珪藻遺骸の溶解が有明粘土の構造に及ぼす影響について"平成13年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. 第1分冊. A-360-A-361 (2002)
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[Publications] 佐藤潤子, 鶴田健太郎, 日野剛徳, 柴錦春: "有明粘土層における塩分溶脱メカニズムの解析的検討"平成13年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集. 第1分冊. A-398-A-399 (2002)