2000 Fiscal Year Annual Research Report
社会ジレンマアプローチに基づく交通機関選択分析:公共のための協力的交通行動の誘発に向けて
Project/Area Number |
12750481
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤井 聡 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80252469)
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Keywords | 社会的ジレンマ / 協力的行動 / 交通行動 / 交通計画 / 説得的コミュニケーション |
Research Abstract |
70年代以降,社会ジレンマとして社会問題を捉えるアプローチが大きな関心を集めている.社会ジレンマとは,社会構成員の全員が自らにとって合理的な選択行動(非協力行動)を行うと,社会的and/or長期的には,全員が公共利益のための選択行動(協力行動)を行った場合よりも個々人の利益が低くなる様な社会状況を指す.その典型的な例が,交通機関選択問題である.交通におけるジレンマについては,欧州の一部では研究がなされているが,我が国や米国等の非欧州諸国ではあまり研究がなされていないのが実状である.また,過去の交通ジレンマ研究は,交通工学,計画学の研究者というよりはむしろ,社会心理学者によるものであり,道路網上での混雑現象や多な運転者特性等の交通問題の固有性を十分に反映したものとはなっていない.この認識のもと,本研究は,社会ジレンマの研究の中で提案されてきた理論的ジレンマ解消方略(orジレンマ管理方略)を基盤として,実務的に実行可能であり,かつ,より効果的な交通政策を見いだすための基礎的な実証分析を行うものである.この分析を通じて,合理的選択モデルによる行動理解に基づいた交通政策の行き詰まりの出口を見いだし,新たな交通計画の方向性を探ることが,本研究の究極的な狙いである.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 藤井聡: "TDMと社会ジレンマ:交通問題解消における公共心の役割"土木学会論文集. No.667/IV-50. 41-58 (2001)
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[Publications] Fujii,S.,and Garling,T.,and Jakobsson,C.: "Economic Incentives in Social Dilemmas"the 27th international congress of psychology, Stockholm.. (2000)