2001 Fiscal Year Annual Research Report
高機能包括固定化担体の物質透過性が同時硝化脱窒性能に及ぼす影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
12750500
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 利晃 日本大学, 理工学部, 講師 (50277381)
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Keywords | 包括固定化担体 / 生物学的窒素除去 / 同時硝化脱窒 / 基質拡散 / ポリエチレングリコール / アルギン酸 |
Research Abstract |
生物学的窒素処理の安定化と高速化、高率化を図るための微生物固定化法の一つである包括固定化法は、目的微生物を選択的に固定化できる点で優れている。これまでに汚泥を用いず、活性汚泥を包括固定化した担体のみを用いて同時硝化脱窒処理を試み、反応槽内の溶存酸素濃度を制御することで、同時硝化脱窒が可能であることが明らかにされている。しかし、脱窒性能の向上が課題として残された。本研究では、脱窒に影響を与える包括固定化担体の基質透過性に着目し、基質親和性(空隙率や分配係数、拡散係数など)の異なる複数の担体を作成して同時硝化脱窒に適した包括固定化担体の開発を行った。これは、包括固定化担体を用いた超高率・超省エネルギー型窒素除去法を開発するための基礎研究として位置づけられる。 開発した担体は、ポリエチレングリコール(PEG)を主成分とする包括固定化担体に、アルギン酸を混入したPEG-アルギン酸複合担体である。アルギン酸添加量を変えた複数のPEG-アルギン酸複合担体を用いた検討により、アルギン酸添加量を増やすことによって、担体の空隙率は減少するが、基質親和性が改善できること、PEG-アルギン酸複合担体では、活性阻害を緩和できることなどが明らかにされた。しかし、アルギン酸添加量が1%を越えると、急激に担体の強度が低下し、攪拌時に破壊されてしまうこともわかった。以上から、微生物活性や基質親和性の観点からはアルギン酸添加量を増加する方が好ましいが、強度の観点からは添加量を控える必要があり、適正なアルギン酸添加量が存在することが示唆された。本研究の結果を基に、今後は、アルギン酸添加量を変えた複数のPEG-アルギン酸複合担体を作成し連続処理性能を調べることで、適正な添加量を決定して行く予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 秋田季輝, 齋藤利晃: "回分式内生脱窒法における包括固定化担体を用いた硝化・脱窒の効率化"第36回日本水環境学会講演集. (2002)
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[Publications] 齋藤利晃, 田中和博: "包括固定化担体を用いた回分式活性汚泥法における硝化内生脱窒の試み"第56回土木学会年次学術講演会講演集. (2001)
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[Publications] 吉田征史, 齋藤利晃: "同時硝化脱窒に用いる担体の開発に関する研究"第45回日本大学理工学部学術講演会論文集. 590-591 (2001)