2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750531
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹林 英樹 神戸大学, 工学部, 助手 (80304129)
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Keywords | 冷気流 / 夏季夜間 / 市街地冷却効果 / 樹林 / 気温鉛直分布 / 放射冷却 / 海陸風 / 六甲山 |
Research Abstract |
神戸市灘区の六甲山南麓市街地において実施した観測結果を基に,広域海陸風と冷気流の出現頻度の関係,及び,市街地における冷気流の影響距離に関する検討を行った.広域海陸風が弱い条件に限り,山際から1km程度までの市街地において冷気流による気温低下効果が期待できる.しかし,山から離れるとその可能性は低くなり,広域の風が強くなると冷気流は吹き消され,市街地での気温低下効果は期待できなくなる. 谷の中での測定とモデル計算により,冷気の集積,流出の過程について検討を行った.谷の中の気温を比較すると,広域海陸風の弱い場合には,堰堤で最も低く,中間,上流の順になっており,冷気集積効果を反映していた.浅水方程式モデルにより,広域海陸風が弱い条件での冷気の集積,流出過程について検討を行った結果,地形により冷気が谷筋に集積され,重力に従って標高の低い方へ流出する様子が再現された.浅水方程式モデルを用いて,広域海陸風が弱い場合の神戸市全域における六甲山の谷等から流出してくる冷気流の分布(谷による集積)が求められた. 樹林内における冷気生成メカニズムを知るため,実測調査と数値計算により気温鉛直分布の形成機構について検討を行った.晴天夜間は気温低下が大きく,上下気温差の変動も大きい.曇天夜間は日没後の冷気の集積と思われる一時的な気温低下が見られるが,その後の気温低下は小さい.数値計算でも実測結果と同様の現象を再現することができた. 観測結果を基に,冷気流の市街地冷却効果としての活用可能性について考察を行った.斜面地に位置する市街地における熱環境の特性に基づいて議論されたワークショップの結果を基に,冷気流を積極的に活用する方法が提案された. 今後の課題としては,計画指針図において緑化推奨ゾーンとして指定された場所で,屋上緑化などにより確保された緑被がどの程度の冷気源となり得るか,その下流域で立替協調によるスリット構造化ゾーンに指定された場所でどの程度効率よく冷気流を活用することが可能かという点について研究を進め,積極的な冷気流の活用に向けた検討を行っていく必要があると考えている.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 竹林 英樹: "夏季夜間における山麓冷気流の出現頻度と市街地における影響距離"日本建築学会計画系論文集. 第542号. 99-104 (2001)
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[Publications] 竹 林 英 樹: "Cooling Effects on A Built-up Area Caused by Cold Air Drainage in Summer Night"Proc. International Symposium on Building and Urban Environmental Engineering. 27-32 (2001)
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[Publications] 竹 林 英 樹: "斜面冷気流における冷気生成メカニズムに関する研究"空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会論文集. 57-60 (2001)
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[Publications] 竹 林 英 樹: "夏季夜間の冷気流による市街地冷却効果に関する研究 その4 冷気流の特性と活用可能性"日本建築学会大会学術講演梗概集. D-1. 949-950 (2001)
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[Publications] 竹 林 英 樹: "斜面冷気流における冷気生成メカニズムに関する研究"空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集. B. 629-632 (2001)
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[Publications] 竹 林 英 樹: "クリマアトラスの実用化に関する研究 ワークショップによる計画指針図作成の試み"日本建築学会技術報告集. 第14号. 207-210 (2001)