Research Abstract |
建築部品や構法の技術開発や研究は,多様で複雑化しており,その目的が把握しにくく,建築に利用する側・実際に使う側にとっても正確な意味を把握しないままその部品や構法を利用してしまう可能性があり,その価値を損なう恐れがある。現時点での部品や構法の技術に関して,それらを整理し特徴を把握した体系を確立しておくことが後の発展や技術の合理化において重要である。 そこで本研究では,まず,部品や構法が頻繁に変化する水廻り設備を一例として,その技術面の変化と特徴となる要求性能を文献や研究資料で調査し,開発事項と要求性能の変化を分析・整理した。これにより,開発事項と要求性能の関係を体系的なパターンで示すことを可能とし,技術開発の変化と要求の変化を対応させる手法を展開した。本研究の成果をまとめて示すと, 1.建築部品や構法は多数存在しているが,求められる要求性能と,開発事項の2軸のマトリックスによって開発内容を整理することができ,開発の有無や開発内容を知ることで,建築部品の種類による主な特徴を簡単に把握することが可能であることを示した。 2.水廻り設備の変化の分析として,要求性能と開発事項に関する重要な項目を抽出した結果,要求性能については「耐久・安全・居住性」,「施工性」,「経済性」の3項目,開発事項は「材質」,「構法・ユニット」,「機能」,「付加価値」の4項目があげられることを明らかにした。これらの項目を記号化することによって,各建築部品や構法の変化過程の違いを比較することや,開発の特徴を明確に示すことを可能にした。 このように,建築部品や構法の複雑化した開発内容の変化過程を把握するために,要求性能に関する3項目と,開発事項に関する4項目の関係を,それらの体系的なパターン化とマトリックスを用いて示すことで,要求性能と開発事項の変化の相互関係を把握した方法を提案することができた。
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