2000 Fiscal Year Annual Research Report
J.J.P.アウトの「新即物主義」時代における建築理念と作品に関する研究
Project/Area Number |
12750575
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Technology |
Principal Investigator |
本田 昌昭 大阪府立工業高等専門学校, 建設工学科, 助教授 (20238819)
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Keywords | J.J.P.アウト / オランダ近代建築 / 新限物主義 / H.P.ベルラーヘ / デ・ステイル |
Research Abstract |
1.Oudによる論文等の資料の収集: アウトが「新即物主義」の時代(1920年代中頃〜30年代前半)に著した論文、及びその運動や時代について彼が残した論考を中心に、国内外の図書館、古書店等でその入手に努めた結果、いくつかの重要な資料を手に入れることができた。以下、その代表的なものについて説明しておく。アウトの主著"Holl・ndische Architektur"(1926年)は、ドイツ語で書かれたものであることは言うまでもないが、今回の収集作業においてそのオランダ語版を入手することができた。このことで、当時のアウトの思索への理解が深まることが期待される。また今回の研究にとっては、まさに「新即物主義」を論じた彼の著書"Nieuwe Bouwkunst in Holland en Europa"(1935年)を入手できたことは非常に有意義であった。さらに今回入手した1960年代に出版されたアウトの2冊の著作集や、当時の雑誌に掲載された幾編かの論文も今回の研究を進めていく上で重要な役割を果たすように思われる。 2.パソコンを使ったアウトの論文データベースの作成: テキストの読解をより実証的なものとすることを目的に、パソコンを利用して今回入手できた文献の電子テクスト化を進め、アウトの論文データベースを作成した。データベースにはその著書"Holl・ndische Architektur"も含まれているが、この作業を通じて、'Nieuwe Zakelijkheid'という「新即物主義」を意味する言葉に先行して、アウトが同様な意味を持った"neue Bewegung(nieuwe beweging)"という用語を使用していたことを確認することができた。本研究にとって、この概念への考察は不可欠であると思われる。ただしその詳細については、次年度の作業を通じて明らかにしていく予定である。
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