2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12750599
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川下 将一 京都大学, 工学研究科, 助手 (70314234)
|
Keywords | イットリウム / リン / セラミック極小球 / 放射線治療 / β線 / 化学的耐久性 / 高周波誘導熱プラズマ法 / 肝臓がん |
Research Abstract |
イットリウム(Y)またはリン(P)を含む直径20〜30μmのセラミック微小球は、熱中性子線照射によりβ線放射体となるので、血管を介して腫瘍内部に送り込み、栄養血管を詰めてがん細胞のみを直接放射線照射して治療する材料として有用である。本研究では、高周波誘導熱プラズマ溶融法によりYまたはPを多量に含む種々のセラミック微小球を作製し、その構造及び化学的耐久性を調べ、さらに、微小球の兎臓器内における分布を調べた。 上記の方法で得られたY_2O_3微小球は高い真球度を有し、しかもその直径は20〜30μmに揃っていた。また、同微小球は立方晶Y_2O_3のみからなっていた。同微小球は、浸漬21日後までHBS-7中にYをほとんど溶出しなかったが、HBS-6中にやや多量のYを溶出した。これは粒界に化学的耐久性に劣る相が介在したためと考えられる。そこで、同微小球をHBS-6に予め5日間浸漬して粒界に析出した不純物を溶解させておくと、同微小球のHBS-6中での化学的耐久性は著しく向上した。同微小球は、Yを多量に含み、高い真球度及び化学的耐久性を有するので、がん放射線治療用微小球として有用であると期待される。YPO_4微小球はプラズマ出力が高くなるにつれ、その真球度を向上させた。しかし、粉末X線回折測定によれば、微小球作製時のプラズマ出力が高くなると、微小球に含まれる正方晶YPO_4の量が少なくなり、代わって立方晶Y_2O_3、及び単斜晶Y_2O_3の量が多くなった。これはPが球状化時に蒸発逃散したためと考えられる。Pを最も多く含むYPO_4微小球をHBS-7及びHBS-6中に浸漬したところ、同微小球はHBS浸漬21日後までYをほとんど溶出せず、4ヶ月後までPをほとんど溶出しなかった。同微小球は、真球度にやや劣るが、多量のY及びPを含みしかも高い化学的耐久性を示すので、がん放射線治療に適すると考えられる。動物実験により、兎各臓器中でのY_2O_3微小球の分布を調べた結果、同微小球は肝臓内にのみ分布し、他臓器へは逸脱していないことが確かめられた。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] N.Araki: "Evaluation of Glass Microspheres for Intra-Arterial Radiotherapy in Animal Kidneys"International Journal of Radiation Oncology・Biology・Physics. 49. 459-463 (2001)
-
[Publications] M.Kawashita: "Preparation of Magnetite Microspheres for Hyperthermia of Cancer"Bioceramics. 14. 645-648 (2001)
-
[Publications] M.Kawashita: "Preparation of Magnetite-Containing Glass-Ceramics in Controlled Atmosphere for Hyperthermia of Cancer"Journal of the Ceramic Society of Japan. 109. 39-44 (2001)
-
[Publications] 小久保正: "医用セラミックスの現状と展望"セラミックデータブック2001. 219-225 (2001)
-
[Publications] 小久保正: "がん治療用セラミックス"化学工業. 52. 38-43 (2001)