2000 Fiscal Year Annual Research Report
複合酸化物中で安定に共存する電子・正孔捕獲欠陥とその光化学応用
Project/Area Number |
12750601
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80267640)
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Keywords | プロトン導電体 / 光吸収スペクトル / 電子捕獲中心 / 正孔捕獲中心 / 光触媒 |
Research Abstract |
【焼結体試料の作製】パイロクロア型およびペロブスカイト型のプロトン導電体、(La_<2-x>M_x)Zr_2O_7,La_2(Zr_<2-x>M_x)O_7(M:Ca,Sr,Ba)およびCa(Zr_<1-x>M'_xのO_3,Sr(Zr_<1-x>M'_x)O_3,Sr(Ce_<1-x>M'_x)O_3(M':Ga,In,Y,Er)の焼結体をそれぞれ作製した。 【光吸収スペクトル】La_2Zr_2O_7について、焼結したままの状態と、それをO_2中で1273K,10h、Ar中で1573K,10h、10^<-8>Paの真空中で1373K,20hそれぞれアニールした試料について拡散反射スペクトルを測定した。La_2Zr_2O_7では紫外域の4.4eVと可視域の1.7,2.2,2.4,2.9eVに吸収帯が観測された。各雰囲気でアニールしたときの吸収帯の強度変化から、紫外域の4.4eVの吸収帯は酸素空孔に捕獲された電子(V_o・あるいはV_o^×)の吸収に帰属された。可視域の1.7,2.2eVの吸収帯は過剰の酸素に関連する吸収帯のようだった。2.4,2.9eVの吸収帯の帰属については現在検討中である。La_2Zr_2O_7で観測された吸収帯は、(La_<2-x>M_x)Zr_2O_7,La_2(Zr_<2-x>M_x)O_7でも観測された。加えて、真空中でアニールした(La_<2-x>M_x)Zr_2O_7,La_2(Zr_<2-x>M_x)O_7とそれらにプロトンを再度溶解した試料ではでは、半値幅が1.3eV程度の幅の広い吸収帯が1.7eVに現れた。この吸収帯は酸素上に局在化した正孔(O_o・)に帰属できた。 Ca(Zr_<1-x>M'_x)O_3,Sr(Zr_<1-x>M'_x)O_3,Sr(Ce_<1-x>M'_x)O_3の焼結したままの試料の拡散反射スペクトルでは、可視〜紫外域にいくつかの吸収帯が観測された。それらの吸収帯の強度は、La_2Zr_2O_7系で観測された吸収帯よりずっと大きかった。 【光触媒作用の検討】作製した試料のうち可視光域に強い吸収帯が観測されたSr(Ce_<0.95>Y_<0.05>)O_3について、光触媒作用を評価した。2×10^<-5>Mのメチレンブルー水溶液中に0.2gのSr(Ce_<0.95>Y_<0.05>)O_3粉末を分散させ、500WのXeランプ光と色ガラスフィルターを用いて、波長が420nm以上の可視光を照射した。その結果、僅かではあるが明らかな光ブリーチングを観測できた。
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