2000 Fiscal Year Annual Research Report
セラミックス基ナノ構造体の電子機能制御:量子・古典並列分子動力学計算
Project/Area Number |
12750604
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鶴田 健二 岡山大学, 工学部, 助教授 (00304329)
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Keywords | セラミックス / ナノ構造体 / 分子動力学 / 電子状態計算 / 並列計算 / 粒界 / 焼結 / 電子易動度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、セラミックス基ナノ構造体における新しい電子機能の発現について、その物性解析に対する量子・古典分子動力学シミュレーションの実践的適用である。本年度に遂行を計画した課題は:(1)並列計算システムの拡充;(2)第一原理計算コードの整備とタイトバインディング(TB)分子動力学(MD)計算用のパラメータ抽出;(3)電子・イオン伝導度のTB-MD計算;(4)それらの成果発表であった。 計画(1)については、パーソナル並列計算システム(Dual Pentium III×8+Myricom社製ギガビットスイッチ)の構築、および安定稼動を実現した(雑誌論文1、6番目参照)。そして、並列計算機上の効率的使用可能な並列TB-MD計算コードを開発(雑誌論文4番目参照)、更に圧力・温度一定のシミュレーション・コードへの拡張を完了した。 計画(2)については、平面波基底の第一原理計算からのTBパラメータ抽出を試み、シリコン単結晶への適用を試みた。更に、近年開発されている第一原理LMTO計算法からの抽出法も、現在検討中である。 計画(3)については、SiCやTiO_2のナノ微粒子間のネック形成・焼結のシミュレーションを実施(雑誌論文1、2、3、6番目参照)。また、古典MD計算や中性子散乱実験データ(雑誌論文5番目参照)と比較し、粒界イオン拡散の温度依存性について検証した。結果、粒径が極微小であるが故に通常のパウダーに比べて焼結温度が数百度も低くなる事を確認した。また、微粒子間粒界での電子易動度についての予備的なTB計算も行った(雑誌論文2番目参照)。 計画(4)に従い、上記成果を国内外の学会で報告した。(日本物理学会・日本金属学会秋期大会、米国材料研究学会秋期大会、ルイジアナん州立大国際会議、他。)更に、3月末に開かれる日本物理学会・日本金属学会の春期大会でも発表予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 家富洋,尾形修司,菊池英明,下條冬樹,鶴田健二,中野愛一郎,Rajiv K.Kalia,,Priva Vashishta: "ナノ材料シミュレーションの最近の展開"マテリアル・インテグレーション. 14巻・1号. 3-8 (2001)
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[Publications] 鶴田健二,東辻浩夫,東辻千枝子: "Tight-binding molecular dynamics of ceramic nanocrystals using parallel PC cluster"Ceramic Transactions. Vol.118. 33-39 (2000)
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[Publications] 尾形修司,家富洋,鶴田健二,下條冬樹,R.K.Kalia,中野愛一郎,P.Vashishta: "Role of atomic charge-transfer on sintering of TiO_2 nanoparticles : variable-charge molecular dynamics"Journal of Applied Physics. Vol.88,No.10. 6011-6015 (2000)
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[Publications] 下條冬樹,T.J.Campbell,R.K.Kalia,中野愛一郎,P.Vashishta,尾形修司,鶴田健二: "A scalable molecular-dynamics algorithm suite for materials simulations : design-space diagram on 1024 Cray T3E processors"Furture Generation Computer Systems. Vol.17,No.3. 279-291 (2000)
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[Publications] A.Chatteriee,R.K.Kalia,中野愛一郎,A.Omeltchenko,鶴田健二,P.Vashishta,C.-K Loong,M.Winterer,and S.Klein: "Sintering, structure, and mechanical properties of nanophase SiC : A molecular-dynamics and neutron scattering study"Applied Physics Letters. Vol.77,No.8. 1132-1134 (2000)
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[Publications] 鶴田健二,東辻浩夫,東辻千枝子: "Tight-binding molecular dynamics of ceramic nanocrystals using PC-based parallel machines"Materials Research Society Symposium Proceedings. Vol.581. 673-678 (2000)
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[Publications] 松原武生,東辻千枝子,東辻浩夫,家富洋,鶴田健二: "現代の凝縮系物理学(上)"吉岡書店. 365 (2000)
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[Publications] 松原武生,東辻千枝子,東辻浩夫,家富洋,鶴田健二: "現代の凝縮系物理学(下)"吉岡書店. 349 (2000)