2000 Fiscal Year Annual Research Report
異方性の強い微小固体の高温における弾性定数測定:電磁超音波共鳴による新しい測定法
Project/Area Number |
12750612
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻 博次 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90252626)
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Keywords | 複合材料 / 弾性定数 / 超音波共鳴 / 非接触 / 高温測定 |
Research Abstract |
SiC繊維強化Ti合金複合材料の弾性定数を非接触するための新しい電磁超音波共鳴システムを確立した.ソレノイドコイル内に直方体試料を挿入し,外部から静磁場を印加する.高出力・高周波超音波発生器によってコイルに高周波電流を流し,試料表面に渦電流を発生させる.渦電流と静磁場の相互作用によってローレンツ力が生じ,これを音源として試料を振動させた.受信は送信の逆効果によって同じコイルで行った.ローレンツ力の方向は,静磁場の方向とコイルに流れる電流の方向によって決まるため,これらの幾何学的な関係を操作して試料内の変位の対称性を操り,その結果,発生する振動モードを選択することができた.こういったモード選択は,固体の自由振動の共鳴周波数から弾性定数をすべて決定するという手法において,不可欠な作業であることが明らかとなった.周波数をスウィープすることで,試料の自由振動の共鳴周波数を測定した.測定した共鳴周波数を計算した共鳴周波数と比較し,両者が十分の精度で一致するときの独立な弾性定数の組み合わせを逆計算により決定した.この手法を用いて,真空中および空気中,において室温から700℃の範囲で複合材料の弾性定数をすべて決定することに成功した.空気中で温度を上昇させたときには,約500℃において弾性定数が変則的な変化を示した.真空中ではこのような現象は観測されなかった.組織観察の結果,空気中で実験を行った場合,SiC繊維とTiマトリクス間に酸化が原因と思われる剥離が観察された.このことから,500℃近辺では試料内に剥離損傷が生じ,これが原因で弾性定数の温度依存性に異変が起こることが明らかとなった.
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