2000 Fiscal Year Annual Research Report
石英系光ファイバの水素による環境脆化と水素存在状態解析
Project/Area Number |
12750626
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
高井 健一 上智大学, 理工学部, 講師 (50317509)
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Keywords | 石英系光ファイバ / 環境脆化 / 水素 / 水 / 昇温脱離法 / 欠陥構造 |
Research Abstract |
1.石英系光ファイバの水素環境における環境脆化特性 従来、石英系光ファイバは水環境に曝されることにより、脆化することが報告されている。本研究では、金属の水素脆化として知られている水素による石英系光ファイバの脆化特性を評価した。その結果、真空環境において約900MPaの環境強度を有するファイバが、大気環境に曝されることにより約500MPaの環境強度へ急激に低下する。その後、水素環境に保持することにより、4週間で約300MPaまで徐々に環境強度が低下する。以上のことから、石英系光ファイバは、水素環境において環境脆化を起こすことが判明した。 2.石英系光ファイバ中の水素存在状態解析 従来、石英系光ファイバは水環境に曝されると、Si-OH結合を形成し、表面エネルギーが低下することが原因で、脆化することが報告されている。本研究では、昇温脱離法(TDS)を用いて、水素環境に保持した石英系光ファイバ中の水素存在状態を解析した。その結果、TDSで昇温することにより、200℃付近にピークを持つ水素放出が認められた。真空保持のファイバでは、水素の放出が全く認められなかったことから、この200℃付近で放出される存在状態の水素が、ファイバの環境脆化に直接影響を与える因子である。また、水環境に保持したファイバにおいては、水素の放出はやはり認められず、一方、100℃、300℃、550℃に水の放出が認められた。よって、水素環境保持によるファイバの環境脆化は、水環境保持による環境脆化と異なる因子、異なる機構で起こることが判明した。
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