2000 Fiscal Year Annual Research Report
大きなMR磁界感度を有するGIG(nano-Granular In Gap)膜の開発
Project/Area Number |
12750629
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Research Institution | Research Institute for Electric and Magnetic Materials |
Principal Investigator |
小林 伸聖 (財)電気磁気材料研究所, 薄膜材料グループ, 研究員 (70205475)
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Keywords | 磁気抵抗効果 / スピン依存トンネリング / 高電気抵抗 / 高磁界感度 / ナノグラニュラー構造 / 薄膜 |
Research Abstract |
GIG(nano-Granular In Gap)膜の磁気抵抗効果(MR)の磁界感度は,用いるナノグラニュラー膜のMR特性に大きく依存し,MR比の大きなナノグラニュラー膜を用いることによって,より大きな磁界感度を有するGIG膜が得られる.本年度は,大きなMR比を示すナノグラニュラー膜を得るために,種々の組成の金属-フッ化物系膜について,膜構造およびMR特性について検討した.試料は,Fe,CoまたはFeCo合金ターゲットとMgF_2ターゲットを同時にスパッタする,2元同時スパッタ法によって作製し,基板にはコーニング#7059ガラスを用いた.得られた試料のMR特性および電気比抵抗は,直流4端子法を用いて評価し,磁気特性は,振動試料型磁力計によって測定した.得られた試料の組織構造は,X-ray回折装置によって調べた.GIG膜の作製は,フォトリソグラフィの手法を用いて行い,描画結果は高倍率の金属顕微鏡によって観察した. その結果,32vol.%(Fe_<0.51>Co_<0.49>)-(Mg-F)膜が,室温800kA/mにおいて13.3%の大きなMR比を示すことがわかった.この値は,これまでに報告されている金属-非金属ナノグラニュラー膜における最大値である.このMRの増大は,膜中の金属グラニュールの分極率の増加によるものと考えられる.さらに,この膜を用いたGIG膜を作製し,弱磁界でのMR特性を評価した.その結果,Fe_<66>Ni_<34>(1.5μm)膜と32vol.%(Fe_<0.51>Co_<0.49>)-(Mg-F)(0.5μm)膜からなるGIG膜は,0.08〜0.16A/mの弱磁界で4%以上のMR比を示し,弱磁界で大きな磁界感度を有する.この値は,以前に報告したグラニュラー膜にCo_<39>Y_<14>O_<47>膜を用いた場合よりも,約1.7倍大きい値である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 大沼繁弘,李希宰,小林伸聖,増本健: "2T以上のBsと100μΩcm以上のρを併せ持つ(Fe,Co)-酸化物系軟磁性膜"電気学会マグネティックス研究会資料. MAG-00-8. 43-48 (2000)
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[Publications] 小林伸聖,大沼繁弘,藤森啓安,増本健: "金属-フッ化物系ナノグラニュラー膜のトンネル型巨大磁気抵抗効果"日本応用磁気学会誌. 24. 571-574 (2000)
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[Publications] 李希宰,大沼繁弘,小林伸聖,三谷誠司,藤森啓安: "(Fe,Co)-Mg-Oナノグラニュラー軟磁性膜の誘導磁気異方性"日本応用磁気学会誌. 24. 687-690 (2000)
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[Publications] 大沼繁弘,李希宰,小林伸聖,増本健,藤森啓安: "高Bsとρを有する(Fe,Co)一酸化物系膜の軟磁気特性"日本応用磁気学会誌. 24. 691-694 (2000)
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[Publications] 小林伸聖,大沼繁弘,増本健,藤森啓安: "(Fe-Co)-Mg-Fナノグラニュラー膜のトンネル型磁気抵抗効果とGIG化による磁界感度改善"電気学会マグネティックス研究会資料. MAG-00-198. 5-9 (2000)
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[Publications] 大沼繁弘,小林伸聖,藤森啓安,増本健: "金属-非金属ナノグラニュラー膜のTMR特性とGIG化"平成13年電気学会全国大会講演論文集〔2〕材料/マグネティックス. 2-S7-2. 801-804 (2001)