2001 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復性防食機能を有する金属・酸化物ナノコンポジット薄膜の創製
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12750632
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤尾 昇 東北大学, 大学院・工学(系)研究科(研究院), 助手 (80222503)
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Keywords | 自己修復性防食機能 / ナノコンポジット薄膜 / イオンビームスパッタ蒸着法 / X線光電子分光法 / カップリング電流 / オージェ電子分光法 / 金属クラスター / その場測定用スクラッチ試験装置 |
Research Abstract |
1.金属クラスターの組成を傾斜させた薄膜の作製 ナノコンポジット薄膜は金属クラスターの酸化作用によって自己修復性能を発現するため、酸化物・金属の平均的な組成比ばかりでなく、厚さ方向での金属クラスターの分布状態にも依存して自己修復性が変化する。そこで、金属クラスターの組成を傾斜させた薄膜を作製し、それらの薄膜の自己修復性を昨年度作製したスクラッチ試験装置を用いて測定した。溶液には、Na_2SO_4およびNaCl溶液を用いた。スクラッチ入れ直後にナノコンポジット薄膜中の金属クラスター部分が溶液に曝されることにより、カップリング電流の増加が観察されるが、被膜の自己修復作用の進行に伴って電流が減衰すると考えられる挙動をした。また、電位はスラッチ入れ直後に活性部分が露出するために卑な電位になるものの、金属クラスターの酸化によってスクラッチ入れ前の電位に回復した。なお、これらの挙動は薄膜組成や傾斜部分の膜厚により大きく依存し変化した。 2.薄膜の欠陥評価 薄膜作製時に導入されるピンホール欠陥数が薄膜の組成により変化する傾向が認められたので、各組成におけるピンホール欠陥数を評価した。その結果、Al_2O_3-Nb系ナノコンポジット薄膜では、単体のAl_2O_3、Nb薄膜よりピンホール欠陥数が増加することが分かった。 3.傾斜組成薄膜を中間層にもう多層膜の作製 ピンホール欠陥の少ない自己修復性防食被覆を開発するために、ピンホール欠陥の少ないNb層を最下層に、中間層に最も良い耐食性を示した傾斜組成のナノコンポジット薄膜、最外層には環境遮断性の、Al_2O_3薄膜を配置した多層膜を作製し、その耐食性を評価した。その結果、Na_2SO_4およびNaCl溶液中でも良い耐食性を示す薄膜が作製できた。 4.最も優れた自己修復機能を有するナノコンポジット薄膜の組成や構造 傾斜組成薄膜を中間層にもつ多層膜が良い耐食性を示すことが分かった。さらに、各層の界面部分での密着性を改善することが必要であると考えられる。
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