2001 Fiscal Year Annual Research Report
せん断加工における破壊過程の微視的調査および剛塑性有限要素解析への適用
Project/Area Number |
12750636
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 佳典 名古屋大学, 大学院, 助手 (60303674)
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Keywords | せん断加工 / 有限要素法 / 延性破壊条件 / 空孔発展式 / 引張試験 |
Research Abstract |
本課題は、修正Gurson型降伏条件式を用いて定式化を行った剛塑性有限要素解析コードに微小空孔発展式を導入することによって延性破壊を考慮したせん断打抜き加工の予測を行う。また、空孔発展式のパラメーターを簡便な実験によって決定する手法を確立することを目的とした。空孔生成パラメーターに及ぼす応力場の影響を実験的に調査し、それを定式化し解析コードに導入した。 各種材料の空孔生成が起こるひずみ値、空孔合体および空孔合体に相当する空孔率をモデル化し、その材料定数を簡単な平滑引張試験と平滑部に曲率半径1.3mmの切欠きをつけた切欠き付引張試験を行うことによって決定した。これによって応力状態を応力三軸度で表現し、破断ひずみと応力場の関係式を求め、空孔発展式に導入できた。また他の破壊パラメーターは、同様のFEM解析を破断ひずみおよび変位-荷重曲線が一致するように変更しながら繰り返し行うことによって決定した。 以上の手法によって決定したパラメーターを用いてせん断解析を行ったところ、その結果はだれ量やせん断面長さおよびバリ高さについて実験結果とよい一致が見られた。また、材質による亀裂の発生時期や破断時期の違いが解析できた。さらに、パンチ-ダイス間クリアランスが狭い場合では、加工中に亀裂の成長が停留する現象が解析され、さらなる改良を加えることによってこれまで困難であった二次せん断面の解析が行えることが分かった。また、これらの結果を応力分布、ひずみ分布および応力三軸度パラメーターによって説明できることが分かった。 当初の目的を達成し、これまで困難であった非定常でかつ延性破壊を伴う加工の有限要素解析手法を確立し、固有のパラメーターを簡便に求める実験方法を提案した。また、本システムを応用し、せん断加工の変形解析を行うことによって、亀裂生成および進展について高精度な解析結果が得られた。
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