2000 Fiscal Year Annual Research Report
電位ノイズ解析による局部腐食の発生予知への信頼性工学手法の適用
Project/Area Number |
12750643
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
井上 博之 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (40203252)
|
Keywords | 電気化学ノイズ / 電位ノイズ / 孔食 / 極値 / Gumbel分布 / 再帰時間 |
Research Abstract |
本年度の研究は、複数の小面積試験片上に形成された萌芽食孔の最大深さを電位ノイズから推定し、Gumbel確率紙にプロットして、進展性の孔食が形成される最小面積(再帰時間)を推定することを目的とした。本方法をプラント実機に適用する場合は、複数本の試験片を一度にラインに挿入し、全ての試験片のノイズを同時に測定する。しかしながら、本実験では保有装置の都合上、等しい条件下で繰り返して電位ノイズの測定をおこない、得られたデータを同時に測定したデータと見なして解析をおこなった。 20mass%の塩化ナトリウム水溶液中に、小面積(1.04cm^2)の304鋼試験片を浸漬させ、60,70ならびに80℃の液温において、それぞれ24時間電位ノイズを測定した。電位ノイズは、銀塩化銀参照電極を用いて、0.5秒間隔・10μVの精度で連続測定した。10mV以上の振幅を持つノイズについて、対応するアノード電気量を逆電位設定法で求め、食孔の形状を真半球と仮定してその半径を推定した。それぞれの液温における個々の試験極の最大値をGumbel確率紙にプロットした。この系において、生成した萌芽食孔が再不働態化せずに進展性となる臨界半径は10μmと推定されている。各温度におけるプロットが、10μmに達する再帰時間を求めた結果、80℃では試験片面積の数倍、70℃では50〜100倍の面積の試験片上で臨界半径を上回る食孔が形成すると推定された。 現在、上記の推定結果が正当であることを確認する実験をおこなっている。70℃の液温において、上記の測定に用いた試験片と同じ組成を有し、かつ10,20,100ならびに200倍の面積を持つ試験片を浸漬させ、腐食電位の経時変化から、これらの試験片に、24時間以内に進展性の孔食が発生するか否かを検討している。
|