2000 Fiscal Year Annual Research Report
擬似体液中での腐食摩耗特性に優れた生体用チタン合金のイオン注入法による開発
Project/Area Number |
12750644
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
福本 信次 姫路工業大学, 工学部, 助手 (60275310)
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Keywords | チタン合金 / 生体材料 / イオン注入法 / 擬似体液 / 腐食摩耗 |
Research Abstract |
21世紀の高齢化社会を迎えた現在,医療用の研究・開発が必要不可欠となっている.なかでも生体内に長期間安全に埋入できるインプラント材の需要は高く,現在利用されている純チタン,Ti-6Al-4VELI以上の生体適合性を有したチタン合金の開発が急がれている.本研究においては,Vを含有しない生体用チタン合金であるTi-6Al-2Nb-1Taを主に用いて,窒素イオン注入法によって擬似体液中での腐食摩耗特性の改善を図った. 窒素イオン注入はコッククロフト・ウォルトン型の注入装置を用い、室温で注入を行った.注入に際しては,通常の注入方法とあわせて,段階的に加速電圧を変化させて注入する多重注入も行った.分極試験の結果,ドーズが2x10^<17>N_2^+/cm^2の場合に不動態保持電流密度が減少し,耐食性の向上が図られた.ドーズがこれ以上になると,逆に不動態保持電流密度は増加し,耐食性は劣化した.通常の注入法とドーズが同じでも多重注入法を適用することによって,さらなる耐食性の向上が認められた.耐食性の向上には,TiNの析出,照射損傷効果,またチタン上の酸化皮膜の変化などが関与していることが明らかになった. 擬似体液中での摩耗試験においても注入材は未注入材に比べて被摩耗量が減少した.しかしながら,乾式の摩耗試験の場合と比べると,被摩耗量は増加した.これは摩耗痕と酸化皮膜との間に形成される局部電池が原因であると考えられる. 注入材を透過型電子顕微鏡で観察した結果,数10nmの大きさのTiNが均一に分散析出していた.これらはチタンマトリックスと方位関係を有することが明らかになった.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] S.Fukumoto et al.: "Corrosion resistance of nitrogen ion implanted titanium alloy for medical implants in physiological saline solution"Proc.13th International Conference on Ion Implantation Technology, Alpbach, Austria, September 17-22,2000. (accepted). (2001)